出会い、絆の深まり、惜別のラスト
どれをとっても超S級の百合映画
映画としての完成度もハイレベルで正直これ以上の百合アニメは見たことがない
冒頭15分間、アンパンマンそっちのけで行われる百合展開
男まさりな姫がロールパンナに堕とされていくのを台詞でなく情景で緻密に描いていく凄さ…
ここだけ切りとっても今の邦画では太刀打ちできないと思う
そしてロールパンナを独り占めしたいというローラ姫と妹のメロンパンナの両者の嫉妬対立とかね…
やなせたかし先生、百合への造詣深すぎるよ!!
忘れがちだが環境汚染へのテーマもあり、かなり重苦しいストーリーにもなっている
ローラ姫『なんでアタイなんかと付き合うんだ?』
ロールパンナ『好きなんだ…』
ローラ姫『え……(赤面)』
ロールパンナ『………花が』
ローラ姫『お前綺麗な目をしてるな』
…の一連は百合映画史上ブッチギリ1位の名場面!!
いやマジで心臓止まる…
その後のロールとローラの歌のシーンも初見時、死ぬかと思った
あとロールパンナが男勝りなローラ姫にドレス着させ赤面させる場面とかも…
全てのカットが致死量レベルのヤバさ!
だが華やかな展開のバックに見え隠れする逃げれない『宿命』
独りで生きることを強いられてた二人が偶然出会ってしまったという悲劇
実はアンパンマンの世界には
『宿命論』のようなものが存在していると勝手に思ってる
アンパンマン世界には貨幣や労働という概念が存在せず原始共産主義としての側面があり
力を持つ者は必ず他人を助けなければいけないという使命のようなものがあると感じた
例えば、アンパンマンは善のパンとして産まれたから人々にパンを分け与えて『善』として生きて義務を全うするというモノ
私欲に使うバイキンマンは『リバタリアン思想』と見なされ悪と描写される
でもロールパンナは善と悪の心を持っている
そして最後には葛藤の末、自分で善を『選択』するという一種の『自由意志』があるのがこの世界ではめっちゃ特殊
ロールパンナはどちらにも着かない実存主義者であり、そこが私はめちゃくちゃ好き
今回のラストも姫と結局お互い一緒にいることが出来ないと悟り(姫には環境保持の為旅するという使命がある)別々に離ればなれになり『独りで生きる』選択を取ってしまう物悲しい結末
自由と宿命に揺れる孤独な二人の少女が出会えた僅かなひとときというのが泣ける!
この映画よく
『アンパンマンなのに凄い百合アニメだ!』と言われるが、違う…
アンパンマンだからこそできた映画なんだ!