りょうすけ

真夜中のカーボーイのりょうすけのレビュー・感想・評価

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)
3.5
「真夜中のカーボーイ」

アメリカンニューシネマとは、1960年代後半から1970年代前半にかけて、ベトナム戦争の影響で社会が混沌とし、反戦運動やヒッピーに代表されるようなカウンターカルチャーが盛んになった時代に作られた、社会や政治に対する反体制的なメッセージや批判的な視点を取り入れている作品のこと。

本作「真夜中のカーボーイ」はアメリカンニューシネマの代表作とされ、第42回アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、監督賞を受賞した作品である。

田舎町からモテる生活を夢見てニューヨークに出てきた似非カウボーイが生活の違いや人と人の関係が軽薄な都会の街の雰囲気に揉まれて翻弄する物語。ジョン・ヴォイド演じるカウボーイとダスティン・ホフマン演じる胡散臭い男二人の友情を描いた物語で、なかなかにセンセーショナル。過激なシーンも少なからず存在する。

1969年とは思えない様な描写が多く、当時はかなり衝撃的だったのではないかと思う。今の映画では当たり前の様に使われている演出が用いられており、この作品から少なからず影響を受けた作品は存在するだろう。主題歌の「Everybody's Talkin'」も劇中で効果的に使われていてとても印象的。

今となってみると、よく作品賞を取ったなと思う様な内容でもあるが、当時の時勢としては必然的だったのかもしれない。今で言えば「エブエブ」の様な作品も取るわけだし、その時代時代にあった映画が取るのは当たり前か。三大映画祭だけでなく、アカデミー賞も分析すると面白い。
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