尿道流れ者

真夜中のカーボーイの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)
3.8
カウボーイの格好をしたフリーターのジョー君は一発当てるためにニューヨークへと旅に出る。時代錯誤のカウボーイルックでアルバイトの仕事もろくに出来ず、さらには風呂にも入らず洗濯もしないジョー君がどうやって一発当てるか?それは男娼となり、セレブの熟女様達に買ってもらうこと。

ニューヨークでジョーはリコという脚の悪い男と出会う。この男の知恵で男娼として活動しようとするがなかなか上手くいかない。

この2人の男は惨めな喧嘩をしながら付き合いを続けていく。2人には夢があり、それにはお互いが必要だから。しかし、2人の持つ夢は夢というには程遠く、現実逃避に近い。ジョーは凄惨な過去と最愛の祖母が眠る故郷から離れてニューヨークに辿り着き、リコはニューヨークでの惨めな暮らしと病気から抜け出すためにフロリダを目指す。現実性や具体性にかける夢は逃避でしかない。

様々な出会いのなかでジョーは心に残る大きな傷のうちの一つを乗り越える。しかし、その時リコは死に瀕していた。夢よりも友達をとったジョーに以前の迷いはなく、自慢のカウボーイファッションも捨て去る。ジョーにとっての真夜中は終わったから。カウボーイになりきり、自ら作り上げた偽りの自分という猛獣を乗りこなす必要はなくなったから。

ドラマとしては面白かったが、編集の仕方とか口に合わない部分も多かったのが少し残念。