『ウィンダミア夫人の扇』と立て続けに本作もライブ演奏付きで鑑賞。
一世紀も前の映画なのに、一つの作品の中でアラブ、イタリア、中国とワールドワイドにストーリーが展開するスケールの大きさと、ヒロインが階段を登るカットの幻想的な美しさや小人の軍隊等のギミックを凝らした映像表現はまさに『メトロポリス』を撮ったフリッツ・ラングらしい。
ベルンハルト・ゲッケの演じる頬のこけた黒装束の死神や、肩にカラスを乗せた薬師、顎紐のようなモジャ髭を生やしたカリフ、長〜い爪の中国皇帝等、戯画化された登場人物のインパクトも強烈。
時代を超越した魅力があるが、アラブとイタリアのエピソードでも、趣向を凝らした映像表現を観せてほしかった。
というか、三つのエピソードの後に最後のチャンスをくれるなら、それまでのエピソードの茶番感は否めない。