死神の谷/死滅の谷の作品情報・感想・評価

「死神の谷/死滅の谷」に投稿された感想・評価

本作を観る前に予習として金子修介監督の「デスノート」を観たのだが、あちらの死神よりは遥かに倫理的な死神であった。

あと三年でこの映画が公開されてから百年経つのか、と思いを馳せつつ、ドイツ映画らしい荘厳さと美麗さを併せ持つ画面には思わず見惚れてしまう。一見すると通俗的なラブストーリーのようにも見えるが、これが意外とブラックジョークの効いた皮肉な内容であのルイス・ブニュエルにも多大な影響を及ぼしたのがよく分かる弁証法的要素の強い作品である。

時折挟まれる俯瞰ショットには思わずドキッとなる美的センスが宿っており、この頃からフリッツ・ラングの映像美学はすでに確立されていたんだね。内容、映像共に💯点満点の凄い出来栄え。
死神が己の役割を嘆く感じが物珍しい 愛は死にまさるのかという試練、男性ばかり死んでたのが気になる 字幕のフォントを国ごとに合わせる工夫が面白かった
imapon

imaponの感想・評価

3.9
哲学的要素を含みながら十二分に娯楽エンタメのラブ・ファンタジー。
必要性に疑問持ちかねない3話オムニバス部だが、1921年にあってラング監督が映像の可能性を遊び心たっぷりに楽しんでるようでとても良い。

絵的にはアラーの信仰で中央でクルクル回転する人々を取り囲む群衆のグルーヴ感が好き。

中国パートが圧巻だが、小っちゃい兵士の登場で何人かがちゃんと蹴躓くギャグ入れ込んで来るの最高!
moku

mokuの感想・評価

4.2
こういう映画だったのかー。
3つ時代&国。それぞれのパートの字幕フォントひとつとっても芸が細かい。
中でも中国パートがあれこれ楽し過ぎた!
どっから見ても死神以外にない死神のキャラクターが淡々としつつ何気に味わいがあってツボ。


<フリッツ・ラング監督特集>
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

馬車に新婚夫婦が乗っていると、いきなり死神(人間っぽい見た目)が相乗りしてくる。

夫婦「何か気味悪い人ね…やーね…」

と死神のことを不気味に夫婦が思っていたら、何と新婚の夫があっという間に死神に連れ去られて、死んでしまう。

観ていた自分は
「夫が死神に殺された!夫死神に殺された!」
と脳内警報をウーウー鳴らして、無表情でじっと座席に座っていたが、新婚妻が死神に

妻「夫を返してくんろ!後生じゃけえ!」

と泣いてすがりついたところ、

死神「いや、おどれの旦那はワテがバラしたんやない。実はおどれの旦那、寿命やったんや。」

と弁解。


妻「寿命?ほげなむごいこと、よくもまぁ言いはりますわ。どないかして、アチキの主人生き返らせてもらえまへんでしょか?」

と諦めない妻。

死神「…ワテかてこの仕事(死神の仕事)、もううんざりなんや。せやけど、神の旦那の言われた通りにせな、ワテも自分の身が危ないしやなぁ…」(マジで愚痴る死神)

妻「あんたの事情や知るか!ボケ!(そこを何とか、何でもしますから!主人をどうにか生き返らせてください!)」

と水と油、ボルビックとマヨネーズ、平行線のやり取りの末、

死神「よ、よ、よっしゃ!ワテも男や!そこまで言うんやったら、お前さんにいっちょチャンス与えたろ!…あそこに消えかけてるロウソクが3本ありまっしゃろ?あのロウソクはある人間3人の寿命を表しておま。3人の命の内、1人でも命救えたら、あんたのご主人生き返らせあげまひょ!」

妻「ホンマでっかTV!」

と言うことで、妻は3つの冒険に出掛ける。3つの冒険がどういう話かと言うと、いずれも若い男女カップルの男が死ぬという話。ただ、シチュエーションがヨーロッパの国、アラブの国、アジアの国とバリエーションに富んでいる。こういう異文化の取り入れはフリチン…フリラン監督の素敵な所だと思う。メチャクチャ面白い。あ、でも2つ目の話、自分は普通に寝てました。

3つ目の話は多分、中国が舞台なのだと思うけど、悪い皇帝の爪がアホほど長い。指10本分すべて。見ているだけで、自分の爪がゾワゾワ~ってした。今、思い出してもゾワゾワ~っとする。
虎と仏の石像の組み合わせは素晴らしい組み合わせだった。

序盤に猫が数匹ほんの少しだけ登場するが、ギャン可愛。

結局、3つの冒険いずれも失敗する妻。これで終わりか…と自分が尻をむずむずさせようとしたところ、

妻「何とか主人を生き返らせて貰えないでしょうかー!」

と、今までの話無視かよ。的な駄々っ子ぶりを発動。「無理に決まってんじゃん、ハハッ」とミッキーマウスっぽく自分がニヒルに笑っていたら、

死神「…あと1回だけチャンスあげまひょ」

泣きの1回きたー!
でも、せっかくの泣きの1回もまた無理難題。それは「生きている人間の残りの寿命をよこせ」というもの。妻は血眼になって寿命を譲ってくれそうな人間(=死んでくれる人間)を求め、街を走り回る。
とにかく老人への無礼を連発。
「もう充分生きたでしょ!死んでいいでしょ!」と割りとストレートに懇願して、断られる。

妻は最後、火事現場に取り残された赤ん坊(寿命たっぷり)を死神に渡す千載一遇のチャンスを掴むのだが、それはさすがにしなくて、自分もホッ。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

-
大層な邦題付いてるけど中身はファンタジーラブストーリーだった。原題は「疲弊した死神」って意味らしい。

田舎の村に死神がやって来ます。婚約したてでアツアツなカップルの男の方を死神があの世へ連れて行ってしまったので(寿命だったそうです)、女の方は大変ショックを受けてしまいます。女は服毒自殺で死後の世界へ飛んで行き、死神に「ダーリンを返して!」と直談判するも返って来たのは「運命は変えられないんで」という事務的な返答。それに加えて「わしかてこんな仕事したないねん」と愚痴る死神さん。やはり死を看取る仕事は精神的に辛いものがあるようです。命の蝋燭が立ち並ぶ圧巻の光景を前に死神はある提案をします。今にも死にそうな三つの魂の中から一つでも救う事が出来たら恋人を返すと。女性は恋人の為に異なる時代、異なる国へ飛んで行き恋人の命を救う女に成り代わります。異なる時代や国に同じカップルが出て来る光景は『バンデットQ』みたいだなと。一つ目はバグダッド、二つ目はヴェニス、三つ目は中国での出来事。視覚効果を多用した演出やなんちゃって異国情緒を表現した衣装や美術が豪華で愉快。クライマックスで、代わりの命を差し出せば恋人を救えると知った女が浮浪者や老人に「あなたの命、私にください!」と迫っては秒で断られる展開が続き笑えます。ラストは切なくも良い話になっていて良かったですね。結果は逆ですが『風立ちぬ』みたいな最後です。ラングが監督する予定だった『カリガリ博士』との関連なんかも考えられる映画です。それに『第七の封印』などの死神映画への影響なんかも感じさせる映画でした。
とてもサイレント映画とは思えない、見事な構成。
むしろ、字幕のフォントを舞台の国に合わせて変えている所とかは、サイレントならでは。

ベネチア、アラブのどこかの国、古代中国の3つの世界を、うまくからめた話は手塚治虫の「火の鳥」を連想させる。(ひょっとして、手塚先生も見てて、元ネタになってたりして?)

ラストの選択はお見事。
本日、シネマヴェーラ渋谷『フリッツ・ラング監督特集上映』にて鑑賞。

フリッツ・ラング監督のミステリアスなサイレント映画であり、あの『メトロポリス』よりも前の作品だが、既に特殊撮影シーンが観られたのは興味深い。

馬車に乗っていた恋人同士が、道中、死神と出会って男の方が、死神に消されてしまう。
女は婚約者を取り戻そうとして、死神が「命の炎が消えそうなロウソク3本だが、これら3人を救ったら婚約者を返す」と言うので、アラブ&イタリア&中国で3人を救おうとする女性だが……
という感じで物語展開する。

それぞれの舞台にマッチしたエキゾチックな描写、そして幻想的な特殊撮影シーンが見事!
この映画、なんと1921年の作品であり、この時代にこんな素晴らしい特撮映像を作っていたというのは驚異的である。

なお、この作品よりも40年以上あとに生まれたTVドラマ『ウルトラマン』でバルタン星人の分身シーンで幼少時は驚いていたが、この映画を観ると本当に驚いてしまう。

フリッツ・ラング監督の佳作。
‬オムニバス形式。特に中国の(あらゆる意味において)過剰な特殊撮影が楽しい。サボテンがかわいくて笑った。ニョキニョキ伸びている蝋燭のセットも美しい。‬
蹂躙

蹂躙の感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます

とにかく美しい。
「わたしも彼のところに行くわ」のシーンと、ラストの死後出会うシーン。

WHDのdvdでみたが、オリジナルのBGMが久石譲っぽくてところどころ気になった。
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