死滅の谷の作品情報・感想・評価

「死滅の谷」に投稿された感想・評価

フリッツ・ラングによる「イントレランス」のような作品。
フリッツ・ラングの奥さんが脚本書いている。「メトロポリス」も奥さんだったのだが
かなりオカルト色の強い内容でラングが書き換えたとも聞く。
そういう点では、本作は、オカルトな内容だとひとり合点している作品ですね。
というのは、死神が出てきてまさに「第七の封印」のようにみんなが死神を認識しているという点ですね。
テア・フォン・ハルボウ(奥様)は、こういうの好きなんですね。だからなのかナチスに傾倒したのかもしれませんね。
そのあと三つの時代の死にまつわる恋人たちの話、バクダット、イタリア?、中国と「イントレランス」のように
巨大セットを作ってスペクタクルに見せてくれる。
そして最後は、愛のために死ぬという結末。
ドイツ時代のフリッツ・ラング映画のスペクタクルな感じは、最高ですね。
恋人を死神に連れ去られた女。女は死神に恋人を返して欲しいと懇願します。死神は女に勝負を持ちかけます。人の一生を司った三つの蝋燭を指し、今まさに消え入りそうなそれらの宿命を変えることができれば男の魂を返してやろうと言うのです。かくして三つの愛に纏わる物語が語られます。所謂、枠物語と呼ばれるような構造ですね。
この三つの物語は、それぞれ舞台とされる国が異なっています。そのため異国情緒満載の映像がこれでもかとばかりに展開されるのも面白いところです。それぞれの愛の物語は個別的なものですが、時代や場所を超えて繰り返される物語は普遍性を帯びるようになっていきます(それぞれの物語の恋人役を枠の部分におけるのと同じ俳優が演じているのはそうした効果を狙ってのことでもあるのでしょう)。
サイレント映画という形式もあってのことかお話自体はとてもシンプルです。というよりも説話的と言ったほうがいいかもしれません。原型的な、物語そのものが持つ力が感じられる映画なんですけど、単純に脚本の完成度がめちゃくちゃ高いと思います。過不足なくとても上手くまとまっています。最終的なオチがとても感動的でした。
映像面においても、先ほど述べたような異国情緒溢るるセットや衣装などが楽しいですし、流石ラングだけあって目を見張るようなショットも満載です。象徴的なショットが非常に雄弁で、特にラストの丘の上を歩いていく三人を後ろから捉えたショットなんか(それまでの流れも相まって)めちゃくちゃ素晴らしいと思いました。(今の目から見ると)技術的に稚拙な特殊効果も幻想的な雰囲気を醸成するのに一役買っていたと思いました。
後はなんといっても死神の佇まいが素晴らしいですね。
こういうタイプの映画って最近じゃあんまり作られないと思うので、そういう意味でも新鮮で面白かったです。
特に最初のパートは忘れがたいショットが立て続けに出てきて興奮する。
roland

rolandの感想・評価

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この映画の美しさはベルンハルト・ゲッケ演じる死神の佇まい、憂いを帯びたその目に負うところが大きい。
ryk

rykの感想・評価

4.4
数多のろうそくと死神と少女が幻想的。サイレントなのに、いや言葉がないからこそ?純然たる少女の愛がびしびし伝わってくる。死神の顔はすごく恐ろしいんだけども、本当はこんな仕事に疲れ切っているという態度や、少女に対してそこまでシビアでもない言動が切ない。なんだか哀愁を感じる。蝋燭の残りの長さ、砂時計、大きな時計の文字盤、今わたしたちが観ている現実の映画のこのフィルムが止まる時間。この映画の中で時間だけが平等で無慈悲だった。
ラストで少女が赤ん坊を死神に捧げようとしてやはりやめて抱きしめるところがとてもよかった。恋人を救うためであっても誰か他の人の命を捧げるなんて違うよね。愛する彼のためにあなたが良心を破滅させなくてよかったよー!て大泣き。
トラベル③中国にて、天子にひれ伏しているときにこっそりキスする二人がかわいくて好き。
ふるた

ふるたの感想・評価

4.3
死神が現れて恋人を連れ去っていく。
恋人と取り戻すために死神とヒロインと対決する物語。

サイレント映画なんでやっぱり眠くなるけど、真面目に美しい映像を撮ろうとする姿勢がひしひし伝わってくる。

栄光の映画黎明期
P後輩

P後輩の感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

三つの挿話を一つの物語で包んだ構成の、「愛は死より強いのか」という主題の寓話。

三つ目のエピソードの終盤、翡翠の魔法を主人公が使うのだが、「なぜそこで仏像と虎になった!?」などツッコミどころもあり。物語の終わりのヒロインの言動、「あなたの命を私にちょうだい!」という狂気にも似た行動にはクライマックスへの流れはわかるものの、やっぱり「おいおい」とはなる。まあそれにしても豪華。特撮があれこれあったりして贅沢なつくり。相変わらず美術がいい。
脚本はラングとラングの奥さん、テア・フォン・ハルボウ。
ヒロイン役にリル・ダコファー『カリガリ博士』)。死神役のベルンハルト・ゲッケは、どこかビル・ナイ似でかっこいい。

ラスト、丘の上で主人公と恋人が手をつなぐ姿にしんみり。
手持ちソフトでラング作品ちょこちょこ再鑑賞中⓪

ラング自身が脚本も担当した作品の中では、やっぱり本作品がマイベストですね。

映像・ストーリーの素晴らしさは私が言うまでもありません。
何が好きかというと、本来ならば無情で恐ろしいといったイメージが定着していたであろう死神を自らの使命に嫌気がさしていて(神の命令だから仕方なくと語る)人間の悲痛な願いに同情し歩みよる姿勢さえみせる設定。

あくまでも私の推測でしかありませんが、以後の様々な作品にみられる死神像に少なからずとも影響を与えているように思います。
ラング版『時をかける少女』。
オープニングの死神が現れる瞬間のカットのかっこよさ。
めりー

めりーの感想・評価

4.0
無声映画をピアノ生演奏を聴きながら観賞しました。いろんな映像効果が入っていて、面白かったです。(時々くすっと笑えてしまうところも有り)観て良かった。
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