死神の谷/死滅の谷の作品情報・感想・評価

「死神の谷/死滅の谷」に投稿された感想・評価

散水夫

散水夫の感想・評価

4.5
ラングはアメリカで「スカーレット・ストリート」という傑作をつくっている。その予兆とでも言うべきムードがこの映画にはある。つまり、冷酷なまでの運命論。
恋人の死は決して覆ることがない。どんなに強く願っても、事実は書き換えられない。このことは、3本の蝋燭によって象徴的に映し出される。火がついた蝋燭が溶けてしまうことは止められない。ラング映画における「光」、そして「蝋燭」は宿命的な記号として現れる。ここでは後者が「メトロポリス」や「扉の陰の秘密」でにおける記号的な役割と同等の働きをしていることに注目したい。初期の傑作と称される本作において、キャリアの晩年でも見られた作家性が現れていることは興味深いことだ。ラング映画の原点といって問題ないだろう。
影山

影山の感想・評価

3.8
変な字体の外国語を読むのが辛かった

死神と現実パートが美しい
タイトル、原題の「疲れた死神」のほうがよくねー?
JAmmyWAng

JAmmyWAngの感想・評価

3.6
神と死神の主従的な関係性によって、死神は生物的な不可抗力としての人の「死」を見続けていると。それは義務というよりも、"It is a curse!"というセリフ字幕の通り、最早抗い得ない呪いなのである。さらに戒律や身分や権力などの、社会的な不可抗力性に愛を絡め取られて迎える「死」が連続して提示されるのだから、そりゃあそんなのどうしようもなく疲れ切ってしまうだろうし、そしてこの終わりなき呪い自体もまたどうしようもないのである。

しかしながら、女がソロモンの雅歌の一節"love is strong as death"を、"love is stronger than death"と勝手に解釈し直した(あるいは誤読した)事が、結果として「死」という不可抗力に対する愛の幻想的な優位性を導き出したのだと僕は思う。それは確かに幻想なのかもしれないけど、死神の疲弊(=呪い)という「どうしようもなさ」も、その勝手な再解釈(もしくは誤読)によって少しは救われたんじゃないかなというところです。僕は仏像と虎のナイスなツーショットに救われました。
フリッツ・ラングの初期作品。本作には『カリガリ博士』のスタッフや監督の伴侶も携わっている。中世アラブ、ヴェネチア、中国を舞台にする3つの挿話において、彼らの質の高い仕事はエキゾチックな雰囲気を充満させて、スペクタクル史劇と悲恋の効果を高めている。こうした徹底した仕事によって、愛のために奔走する乙女という通俗的で感傷的なメロドラマが、歴史的/神話的な舞台という壮大な見かけと結合している。それにより、「運命」というテーマ、実のところ古典古代の残骸でしかない観念が、あたかも形而上学的な威厳や神秘をまとって現れる。

作品を貫く運命という観念や、遠い歴史への依拠、幻想的な風景など、本作の現実逃避的性格は明白だが、現実にはそれら古代・中世なものは近代化によって破壊されている。それを「ドイツ本来の国民性」と信じ、スクリーンに再生しようとする、ひたむきな努力がすでに現実逃避そのものである。その意味で、一般にドイツ表現主義に分類されるこの映画の精神はロマン主義といってよい。(19世紀ドイツロマン主義の滑稽なまでに大仰な絵画作品を思い出そう)

こんなこと書くと酷評にしか見えないが、字幕の書体にまでこだわりを見せる美術的配慮、半透明の死者たちや魔法の馬に絨毯などのトリック撮影の技術など見所たっぷりの傑作であることは間違いない。とフォローしておく。
フリッツ・ラングによる「イントレランス」のような作品。
フリッツ・ラングの奥さんが脚本書いている。「メトロポリス」も奥さんだったのだが
かなりオカルト色の強い内容でラングが書き換えたとも聞く。
そういう点では、本作は、オカルトな内容だとひとり合点している作品ですね。
というのは、死神が出てきてまさに「第七の封印」のようにみんなが死神を認識しているという点ですね。
テア・フォン・ハルボウ(奥様)は、こういうの好きなんですね。だからなのかナチスに傾倒したのかもしれませんね。
そのあと三つの時代の死にまつわる恋人たちの話、バクダット、イタリア?、中国と「イントレランス」のように
巨大セットを作ってスペクタクルに見せてくれる。
そして最後は、愛のために死ぬという結末。
ドイツ時代のフリッツ・ラング映画のスペクタクルな感じは、最高ですね。
恋人を死神に連れ去られた女。女は死神に恋人を返して欲しいと懇願します。死神は女に勝負を持ちかけます。人の一生を司った三つの蝋燭を指し、今まさに消え入りそうなそれらの宿命を変えることができれば男の魂を返してやろうと言うのです。かくして三つの愛に纏わる物語が語られます。所謂、枠物語と呼ばれるような構造ですね。
この三つの物語は、それぞれ舞台とされる国が異なっています。そのため異国情緒満載の映像がこれでもかとばかりに展開されるのも面白いところです。それぞれの愛の物語は個別的なものですが、時代や場所を超えて繰り返される物語は普遍性を帯びるようになっていきます(それぞれの物語の恋人役を枠の部分におけるのと同じ俳優が演じているのはそうした効果を狙ってのことでもあるのでしょう)。
サイレント映画という形式もあってのことかお話自体はとてもシンプルです。というよりも説話的と言ったほうがいいかもしれません。原型的な、物語そのものが持つ力が感じられる映画なんですけど、単純に脚本の完成度がめちゃくちゃ高いと思います。過不足なくとても上手くまとまっています。最終的なオチがとても感動的でした。
映像面においても、先ほど述べたような異国情緒溢るるセットや衣装などが楽しいですし、流石ラングだけあって目を見張るようなショットも満載です。象徴的なショットが非常に雄弁で、特にラストの丘の上を歩いていく三人を後ろから捉えたショットなんか(それまでの流れも相まって)めちゃくちゃ素晴らしいと思いました。(今の目から見ると)技術的に稚拙な特殊効果も幻想的な雰囲気を醸成するのに一役買っていたと思いました。
後はなんといっても死神の佇まいが素晴らしいですね。
こういうタイプの映画って最近じゃあんまり作られないと思うので、そういう意味でも新鮮で面白かったです。
特に最初のパートは忘れがたいショットが立て続けに出てきて興奮する。
roland

rolandの感想・評価

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この映画の美しさはベルンハルト・ゲッケ演じる死神の佇まい、憂いを帯びたその目に負うところが大きい。
りょ

りょの感想・評価

4.4
数多のろうそくと死神と少女が幻想的。サイレントなのに、いや言葉がないからこそ?純然たる少女の愛がびしびし伝わってくる。死神の顔はすごく恐ろしいんだけども、本当はこんな仕事に疲れ切っているという態度や、少女に対してそこまでシビアでもない言動が切ない。なんだか哀愁を感じる。蝋燭の残りの長さ、砂時計、大きな時計の文字盤、今わたしたちが観ている現実の映画のこのフィルムが止まる時間。この映画の中で時間だけが平等で無慈悲だった。
ラストで少女が赤ん坊を死神に捧げようとしてやはりやめて抱きしめるところがとてもよかった。恋人を救うためであっても誰か他の人の命を捧げるなんて違うよね。愛する彼のためにあなたが良心を破滅させなくてよかったよー!て大泣き。
トラベル③中国にて、天子にひれ伏しているときにこっそりキスする二人がかわいくて好き。
ふるた

ふるたの感想・評価

4.3
死神が現れて恋人を連れ去っていき、
恋人を取り戻すために死神とヒロインが対決する物語。

サイレント映画なんでやっぱり眠くなるけど、真面目に美しい映像を撮ろうとする姿勢がひしひしと伝わってくる。

栄光の映画黎明期
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