りえあおき

クラムのりえあおきのレビュー・感想・評価

クラム(1994年製作の映画)
3.3
当時映画館で観て、久しぶりに。

タイトルはクラムとなっている通り、実はクラムファミリーについてのドキュメンタリー。監督はゴーストワールドの人。あの映画を見てからの方が 解像度が少しあがる。

女性嫌悪、フェティシズム、人種差別、これらについて 漫画家クラムが他と違うのは そこに自覚的、で分析的な点で、それこそが才能の芯なのかなと。自分の醜悪さをぶちまけたい資質に超自覚的。

他の兄弟も 無自覚な両親が反面教師なのか 理知的で自己分析的。ただ心に負った傷があまりに深かった。

引きこもり、という言葉は安易過ぎてずっと嫌い。それぞれ個々に事情とストーリーがあって、グラデーションがあり、外に出られない。

「有害な男性性」という言葉があるけど、観て思うのは 自身に対する客観性のなさが 何よりやばいんだなーと。クラム家の両親のような無自覚さの持ち主は 現在もいるし、自分の中にもあるのだろなぁ…

このドキュメンタリーは最高だけど、クラムが劇中で言ってるように「 優れたものであっても そのすべてが子供向け、万人向けじゃない。」このドキュメンタリー、配信で の推奨が、7+ になってる。全くあってない。ポルノ業界や痴漢に及ぶ人の率直な話などが出てくる。家族で観るものじゃない。

インスタグラム的なものと一番遠いのがクラム。絵がボップなので万人向けと勘違いされるのもクラム。なのかな。