クラムの作品情報・感想・評価

クラム1994年製作の映画)

CRUMB

製作国:

上映時間:119分

ジャンル:

4.1

「クラム」に投稿された感想・評価

TaiRa

TaiRaの感想・評価

5.0
アングラ・コミックの創始者ロバート・クラムを、古馴染みのバンド仲間テリー・ツワイゴフが撮影したドキュメント。

歴史的なアーティストとしてのロバート・クラムと一個人としてのロバート・クラムの両方を捉える。女性に対する極度の劣等感や過剰な性欲などを躊躇なく作品に表現してしてしまうある種の無邪気さ。ロバートが撮影中、誰と話す時もニコニコしているのも子供の様だし、女性におんぶされるのが好きみたいで楽しそう。元カノに酷いエピソードを話されている時も横で「そうだっけぇ?」と呑気な笑顔。

この映画の主役は彼とその兄弟である。兄は少年時代から漫画の才能に溢れロバートをその道に導く。弟もその影響で絵の才能が開花する。だが、二人ともコミニュケーション能力が乏しく社会に適応出来なかった。兄は学生の頃、ハンサムで人気もあったらしいが虐めを受けて心を閉ざす。50近いがセックスの経験もなく、30年近く実家で抗うつ剤を飲みながら引きこもっている。弟の方は、かつて痴漢常習犯だったり、精神病院に入院したりした過去を持ち、今は廃墟の様なアパートで誰とも会わず孤独に暮らしている。ロバートも対して人間性は変わらないが、偶然か必然か売れたことで救われた。ロバートは、二度の結婚で二人の子供がおり、息子は絵が上手く、幼い娘は可愛い。クラム兄弟に暗い影を落としている権威的な父親の存在。母親にロバートだけが愛されたと言う兄。そして最後に出る字幕が、あまりに残酷で悲しい。

ロバート・クラムの友人であり、凡人の最高峰ハービー・ピーカーを描いた『アメリカン・スプレンダー』と合わせて観ると面白い。自分みたいな才能も社会性も持ち合わせていない人間からすると、あまりにも絶望的で落ち込む映画だった。
これはすごいドキュメンタリー。

撮られる側も、撮る側も、公開する側も(笑)

精神時なグロテスクとでもいわんや、狂気に迫る稀有な作品。
本来なら、何処にも辿り着けない家族なのに、真ん中の男の子の人生だけにスポットライトがあたる事になった顛末を、前へ進む力を感じさせずに描き切っている、心に残るドキュメンタリー
ゆーや

ゆーやの感想・評価

4.0
テリー・ツワイゴフ監督、デヴィッド・リンチ製作総指揮。
ロバート・クラムのドキュメンタリー映画。

クラムに関してはほぼノー知識、ツワイゴフ×リンチの組み合わせだったので鑑賞、彼が描く風刺漫画是非とも読んでみたい。
やっぱりドキュメンタリー映画は面白い◯
rico

ricoの感想・評価

3.3
クラムの描いた漫画を読んだこともなく、あまり知らないまま見たのでイマイチ乗り切れず。
本人像よりも、バックボーンの家族像があまりにも田舎のアメリカの一家族の一つの形というか、戦争を得て軟弱な息子たちが許せないサディスティックな父やダイエットの為にアンフェタミンを使用し壊れてしまう母(レクイエム・フォー・ドリーム!)、精神病を患い引きこもっている兄、同じように家族の軋轢によりうまく人と接せれない弟など、、、そんなありふれていそうなアメリカの影の家族像が浮き彫りにされている事が興味深かった。
(クラム自身もだいぶ歪んだ精神構造をしている)

ぜひ一度クラムの漫画も読んでみたいと思った。
(ついでにクラムの所持しているsp盤からの編集盤があるようなのでそれも聞いてみたい)
TAKU

TAKUの感想・評価

5.0
観ていいて「これ映しちゃっていいの?」と思うくらい狂っていて、ものすごく面白かった。

LSDをやりながら漫画を描いたロバートもどうかしてるが、それ以上に50歳になっても実家に引きこもり、本はカントとヘーゲルしか読まない兄や、自らの痴漢の性癖をカメラの前で語る弟など、精神を病んだ彼の家族の方がすごかった。とりわけ、ロバートに漫画家としてのインスピレーションを与えた兄チャールズが描いた漫画は、「この人狂ってる」というのが伝わってきて怖い。

特異な家庭環境や幼少期のトラウマによってロバートは、漫画家として成功した。しかし、劇中にロバートの「描かないと気が狂ってしまう」というセリフにあるように、それらから逃避するため描くことにのめり込んだ結果、表現することなしに生きられなくなった。彼にとって漫画とは、才能であり、呪いなのである。天才と呼ばれている人は、普通の人には計り知れないほどの苦しみを抱えているそんなことを考えさせられる素晴らしいドキュメンタリーだった。
meehoo

meehooの感想・評価

4.4
クラムの厭世観を創った、独特なバックボーンを垣間見られる貴重な映画かと。