クラムの作品情報・感想・評価

クラム1994年製作の映画)

CRUMB

製作国:

上映時間:119分

ジャンル:

4.1

「クラム」に投稿された感想・評価

buddys09

buddys09の感想・評価

3.3
どんな人生でも家族というのはなんらかの影響を与えてるんでしょう
No.879[あぁ!何と最悪に輝いているのだろう!] 77点

ロバート・クラムというと「フリッツ・ザ・キャット」くらいしか知らないのだが、彼の中では三番目くらいに有名とのことだった。一番目は「Keep On Truckin'」、二番目は「ミスター・ナチュラル」らしい(聴いたことすら無い)。しかも「フリッツ・ザ・キャット」のアニメ化に際して毒気を抜かれたため、どうでも良くなったらしく原作でフリッツを刺殺してる。このエピソードからもロバートの飄々としたヤバさが垣間見える。

ロバート自身も十分イカれているのだが、ロバートの兄チャールズや弟マクソンはもっとイカれているということが分かる。チャールズは早くからマンガに目覚め、ロバートやマクソンを動員してマンガを書いていた。画の才覚に秀でていてロバートよりも上手だったのだが、高校でいじめられたのをきっかけに50代になる今まで引きこもり生活を送っている。マクソンはそんなふたりの兄の背中を追いつつ、性的に抑圧された生活を送っていたため、今では通行人のショーツを下ろしたり釘を打ち付けた板に乗って精神統一したりしている。勿論、ロバート本人も13歳くらいでノーマルであることを諦め、溢れんばかりの性欲と他人特に女性に対する劣等感から心が徐々に歪み始めた。画風もLSDをキメて書き始めた60年代後半から変化し始め、アングラコミック界の大スターになる。カウンターカルチャー最盛期との相互作用でアングラコミックは時代の頂点に並び立つまでになる。

おそらく、ロバートと残りのふたりとの違いは売れたかどうかという話の他に次男であるということも関わっていると思う。猪突猛進の長男、世渡り上手な次男、甘えん坊の末っ子というステレオタイプに当てはまるとも思えないが、この一家においても上下に緩衝材がいるという点で次男の特権のようなものが働いたのだろう。

作中、いろいろな人が”クラムは20世紀のブリューゲルだ”とか”20世紀のドーミエだ”とか言っているのだが、ロバート本人は”書きたいことを書いている”と言っていて本当にそうなんだろうと思う。コラムニストとかが勝手に色んな意味を見出して高く評価している姿は滑稽に映る。

公人と私人としてのロバート・クラムを的確に映し出した本作がドキュメンタリーとして中立な立場に立っていることは明白だ。本作品の締めくくりは兄チャールズの口癖”何と最悪に輝いているのだろう”という一言に集約される…はずだったのだが、最後に”本作撮影後にチャールズは自殺した”という字幕で総てが吹き飛んでしまった。ご冥福をお祈り致す。
324

324の感想・評価

4.0
「引きこもりの兄を尊敬し続けるオナニスト」最高かよ。基本過去を追っていて、カメラの前で何かが生じる訳ではない。そんな中、兄弟のみリアルタイムな部分があって良い。

やりたいことをやれているのは羨ましい。日本でも売れそうなタイトルあるけど、ヴィレヴァンとかで売ってくれないだろうか。
yadakor

yadakorの感想・評価

3.0
何日か前に見たピアニストのドキュメントよりよっぽど良い 知らない人でも興味を引くようになってる
Miyazaki

Miyazakiの感想・評価

4.2
「なんと最低に輝いてるんだろう」
劇中の台詞で印象に残った、まさにそんな一言にでとにかく凄かったです
いろいろ裏切られた。
何よりロバートクラム、一体どんな愉快な変人なのかと思っていたら……
あとは、この映画は「クラム」だったってこと。
アウトサイダーってほんとはこういうことやで、ってその辺のアウトサイダーにやさしく言いたい
一

一の感想・評価

-
すごい映画。カウンターカルチャー世代の若者にとってのカリスマだったロバート・クラムを性的に歪んだミソジニストであり黒人音楽を愛好するがレイシストであるともキッパリ描き出す。でも映画の中心はぶっ壊れたクラム家の悲惨なファミリー・ストーリー。50年代アメリカ的家族像の欺瞞がこれでもかと暴かれる。強烈すぎるクラム3兄弟。ロバートが一番まともに見える。80年代後半から90年代初めと思われるサンフランシスコの街の風景も面白い。カフェでネズミに餌やりしてる男なに。
momo

momoの感想・評価

5.0

映画どうこうじゃなくて、単純にロバート・クラムがやばすぎる
そしてチャールズ・クラムがさらにやばすぎる
クラム家全員やばすぎる

やばすぎる人間をみれることの贅沢さ

天才的な絵の才能がある想像力が豊かなレイシスト社会不適合最低カス野郎なんだけど、かっこいい

かっこいいなあ
TaiRa

TaiRaの感想・評価

5.0
アングラ・コミックの創始者ロバート・クラムを、古馴染みのバンド仲間テリー・ツワイゴフが撮影したドキュメント。

歴史的なアーティストとしてのロバート・クラムと一個人としてのロバート・クラムの両方を捉える。女性に対する極度の劣等感や過剰な性欲などを躊躇なく作品に表現してしてしまうある種の無邪気さ。ロバートが撮影中、誰と話す時もニコニコしているのも子供の様だし、女性におんぶされるのが好きみたいで楽しそう。元カノに酷いエピソードを話されている時も横で「そうだっけぇ?」と呑気な笑顔。

この映画の主役は彼とその兄弟である。兄は少年時代から漫画の才能に溢れロバートをその道に導く。弟もその影響で絵の才能が開花する。だが、二人ともコミニュケーション能力が乏しく社会に適応出来なかった。兄は学生の頃、ハンサムで人気もあったらしいが虐めを受けて心を閉ざす。50近いがセックスの経験もなく、30年近く実家で抗うつ剤を飲みながら引きこもっている。弟の方は、かつて痴漢常習犯だったり、精神病院に入院したりした過去を持ち、今は廃墟の様なアパートで誰とも会わず孤独に暮らしている。ロバートも対して人間性は変わらないが、偶然か必然か売れたことで救われた。ロバートは、二度の結婚で二人の子供がおり、息子は絵が上手く、幼い娘は可愛い。クラム兄弟に暗い影を落としている権威的な父親の存在。母親にロバートだけが愛されたと言う兄。そして最後に出る字幕が、あまりに残酷で悲しい。

ロバート・クラムの友人であり、凡人の最高峰ハービー・ピーカーを描いた『アメリカン・スプレンダー』と合わせて観ると面白い。自分みたいな才能も社会性も持ち合わせていない人間からすると、あまりにも絶望的で落ち込む映画だった。
これはすごいドキュメンタリー。

撮られる側も、撮る側も、公開する側も(笑)

精神時なグロテスクとでもいわんや、狂気に迫る稀有な作品。
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