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眠る男のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

眠る男(1996年製作の映画)
3.8
アピチャッポンと「もののけ姫」「追憶の森」を思い出す、森の精気を感じる作品。小栗康平オリジナル脚本。そのどの作品よりも先に制作されている。

言葉にするのが難しいが、男が昏睡しているこの村の森に誘われている気がする。群馬県の行政が資金を出して製作されたからといって(行政によって作られたのは初)、ご当地ものでも観光案内でもない。メッセージ性もたぶんない。

ただ静かな村で、共同湯に浸かり、地元の人と世間話をしたり、宿や軒先で地のものをいただき、川原で川の流れを飽きずに見たり、そんなことをしたくなる。噂になっている眠り続けている男のことを時々思い出して。

水が森を豊かにし、木は自然に死に、死んだ木は森の土となる。水と光があれば木は再生する。その輪廻の中にたまたま人がいる、ただそれだけを感じにふらりと行ってみたい。

眠る男は誰よりも山と森を知っていたという。死するときを森と水に知らされたのかもしれない。

もう一度観てみたい。心地よかった。


ロケ地がすぐにわかった。時々行く温泉への通り道だったから。
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