甲子園の魔王

スラムドッグ$ミリオネアの甲子園の魔王のネタバレレビュー・内容・結末

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

久々の鑑賞。
初見の時はうんこまみれで歓喜するシーンと、兄サリームによる初恋の相手ラティカへのアレの印象が強すぎた。

ミリオネアの問題の答えがすべて自分の人生の中にあった…というストーリーはよく都合良すぎワロタと批判されてる印象があるけど、俺はこの構成大好きですねえ!
『ザ・クイズショウ』っていう同じくミリオネアを絡めたドラマがあって、そっちはミリオネアの問題を解いていくと同時に出場者の罪が暴かれ公開処刑状態に陥っていくという復讐要素も入ってくるんだけど…こういう過去の行いや個人的体験が何か別のもの(今回でいえばクイズ)に置き換えられ凝縮され、それを通して人生が描かれる作品好きなんですよね。しかもこっちは幼少期から始まるわけだからまさに人生。

ただ構成は好きなんだけど、スラムドッグの逆転物語にしてはカタルシスが薄い。
全問「そういえば何か聞いたことあんな」で解ける都合の良さはフィクションだしよかですわ。でも何か別で努力したり立ち向かったり、主人公の意思が運命に介入する描写が欲しかった。あんまりジャマール自身がハッピーエンドに寄与してないように見える。ラティカに会いに行ったり駅で待ってる場面も、なんで無策やねん。

あと孤児を使った搾取構造の描き方等はグロテスクさが伝わって良かったけど、そこを逃げ出してからはスラムドッグという割には飢えてもないし、貧富の差やインドの現実みたいなテーマからは離れ、ジャマールとラティカこの二人どうなっちゃうの〜!?という視点の作品に移ってしまって残念。

でもエンディングの、駅のホームで幼少期の二人が踊ってるシーンはよかったね。あれあるのとないのとで評価だいぶ変わるぞ。
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