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これがロシヤだ/カメラを持った男のNのレビュー・感想・評価

4.0
脳内CPUのスペックが異様に少ない私にとって、何も考えずにただ観ることに集中できる本作品は有難い存在だ。ロシアの文化、生活、労働から出産、結婚、死などの様々なモチーフをカメラで撮影し、継ぎ接ぎした本作品はドキュメンタリー映画であり、実験映画でもあり、はたまたプロパガンダ映画の形相をも帯びている。本作品の特質すべきポイントは当時には斬新なモンタージュやスローモーション、多重露光などの技法をふんだんに活用した点とカメラを持った撮影者人身が画角に映り込むメタ的な構造を孕んでいる点だ。これらの要素が本作品の映像群に自由で生き生きとした前衛的な解釈を付加してくれる。ジガ・ヴェルトフが表現したモンタージュ、自由闊達なその姿勢からは現在の動画配信業に通じるムーブメントをも感じることができる。
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