buddy

アラビアのロレンスのbuddyのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.3
《VFXには出せない熱感と荒っぽさに感服する-》
年配の映画業界関係者がVFXを非難し、論争が絶えないが、幼少期にこのようなスペクタクル作品を観て育った彼らの立場からすると、その憧れが現代でも残るのは当然のことだと感じる。最近の『デューン』を見て、砂の表現に新たな時代を感じたが、60年以上前のVFXのない時代に、全てを本物の素材で作り上げた作品には、VFXでは味わえない熱感や荒々しさが息づいていることに驚嘆する。
シーンの転換やカット一つ一つに並々ならぬこだわりを感じるし、剣の振り翳し方の野蛮な要素も見てる者の闘争心まで湧き立てる。

ただ派手な映画ではなく、人間ドラマやキャラクターの心情までもが丁寧に描かれ、ガザ地区の問題にも通じるメッセージが込められているようにも感じた。主人公ロレンスの風変わりで何を考えているのか分からないキャラクターや、彼の栄光を美談とせず、正義とは何か、闘いの果ての虚しさなどがしっかりと語られており、まさにスペクタクル映画の金字塔に相応しい1本!
buddy

buddy