すずきじゅんいち監督デビュー作。期待値どおりの佳作。婦人科検査入院なはずなのにセックスしまくり、痛そうな様子ゼロな朝比奈順子。男をセックスパートナーとしか見ない自立した勝手気ままのキャリアウーマンが、いろいろと気付いて学んで成長していくお話。セックスそれ自体の痛み、男に裏切られてなお愛情を捨てられない痛み、なんでこんなに女の痛みを丁寧にリアルに描けるのか。シングルファーザーなカメラマンのひたむきさ。寝てる娘に布団をかける、それだけのシーンの雄弁さ。小川亜佐美の鮮烈な存在感。終盤、橘雪子の語りから先はもう涙なしじゃ観られない。女ってなんて切なくて苦しくて痛い。愛する男に裏切られた絶望、なんてつらい。そしてなんて幸せ。結局橘雪子がぜーんぶ持って行く。完全に消えもしないけれどきちんと脇役を引き立てる、朝比奈順子がちょうど良すぎる作品。私のお気に入り織田俊彦はさりげなく婦人科医師役でした。雨雨降れ降れもっと降れ。
