ENDO

アトミック・カフェのENDOのレビュー・感想・評価

アトミック・カフェ(1982年製作の映画)
4.5
一切のナレーションを廃した事でコラージュされた映像が暴力的なほど視界に入り込む。広島・長崎・ビキニ環礁・第五福竜丸。冷戦下の1982年に作られた作品。日本ほど被曝した国はないのに原発は依然として作り続けられる。根拠のない安全宣言を続ける狂気。放射線は一番無害だと言い切る士官。対策は机の下にさっと隠れろ?無知からくる恐怖が不安を煽り排外的になる。レッドパージのおぞましさ。50年代アメリカのポップ・ソングに合わせ何にでも『atomic』をつける軽薄さ。それに引き換え被曝の記録映像は嘘の宣伝を軽く吹き飛ばす現実だ。戦争は本当に恐ろしい。どんなに理由をつけても絶対に戦争はしたくない。青臭いかもしれないが。世界のどこかで必ず紛争がある状態が遍在化してしまった今我々日本人はあまりにウブで感覚が麻痺してしまっている。作り手が何も語らないからこそ自分自身に訴えかけるべきだ。平和を。この資本に踊らされた狂った社会に一個人として迎合しない審美眼を持たねば。
ENDO

ENDO