一見フォリアドゥを扱ったサスペンスにも見えるが、最初に浮かんだのは
「向こう側にいる内面とドッジボール」
と歌うMr.Childrenの歌詞。
またはBill Evansの『Conversation With Myself』か。
多重人格であることが人間の本来であり、すべての人間が内側で屈託するオディールとオデットの存在に苦悩する。
この作品では中でも、
理性 vs 感性
本音 vs 建前
虚栄 vs 純朴
などの二項対立が強調される。
ホイッスラーの"白のシンフォニー"を彷彿とさせる真っ白な部屋、カーテン、ワンピースという光景の後には、一転してアルマの服装がどんどん黒ずくめに移行していくなど、内面のパワーバランスの変化も描写が細かい。
仮面を意味するpersonaが、人格を意味するpersonに転じた事にすべての答えがあるのだろう。