観察者が観察される側にいつの間にか転換してしまう。
どこか似ている境遇を持つ2人の女性、一方は女優で一方は看護婦。
女優はある日を境に失語症的な状態になり、それを看護婦はケアすることに。でも、女優は喋らないから看護婦が次第に自分の主観から彼女の像を積み上げていき、段々と彼女自身に都合の良いイメージを作り上げていくのがわかる。
女優はそんな彼女を観察し、手紙にその旨を書き、さらに看護婦はそれを読んでしまう。
ベルイマン、本当逆撫でさせられるというか居心地良くない空気感生み出すの上手いんだなと…笑
同一化とか演技とか仮面=顔をめぐるキーワードはあるけれど、私は洗練された画面作りが印象的だったかも。
とにかく余計な装飾が取り払われたエレガンスが2人の女性に漂っていて、素直に美しいなと思わせられる場面も多数。
看護婦の制服から、部屋着、レトロなワンピ型の水着、ビニール素材の黒いレインコート、ヘアバンドにジャケット…ファッションの見せ方がわかってる。60年代だなと感じる。
あとは、役者の顔を映すとき、一時代のハリウッドは今でいう韓国風メイクというかシミそばかすないです!!って感じのライティングで幻想的な女性の顔を作るけど、一歩ヨーロッパに渡ればその顔にあるすべてを映すことから生まれる美しさみたいなものを作ろうとする部分でやっぱり違うんだなと感じた。