ニューヨークが舞台。小説家のドン・バーナム(レイ・ミランド)はアルコール中毒に苦しみ、兄のウィク(フィリップ・テリー)と恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)が必死に手助けしても悪化するばかりだった。ある日、ついにドンは路上に倒れ中毒患者専門の病院に担ぎ込まれてしまう。
おどろおどろしい音楽が映画の雰囲気を作り、その中で酒を注ぎ、恍惚と佇むレイ・ミランドが不気味だ。
序盤のそのシーンだけでなく、酒が入ると徐々に躁状態になっていく演技がすごかった。
淡々とアルコールの誘惑との戦いを描いているので、ちょっと取っつきにくいかもしれないが、アル中の恐ろしさを伝える描写や、時間を前後させたり、オープニングとエンディングを見事につなげる構成など、見どころはけっこうある。
ビリー・ワイルダー作品は後の「お熱いのがお好き」や「あなただけ今晩は」などがとても楽しいが、初期のこういったシビアな作品も別の意味で非常に面白い。
お酒大好きの自分も、もし強靭な内臓を持っていたら危ないかな、なんて思ってしまった。