失われた週末の作品情報・感想・評価

失われた週末1945年製作の映画)

THE LOST WEEKEND

製作国:

上映時間:101分

ジャンル:

3.7

「失われた週末」に投稿された感想・評価

粉雪

粉雪の感想・評価

4.0
いや〜、恐かった。
どうなるんだ?!とハラハラしながら見てました。
音楽がもう、なんというか、責め立てるように不安を煽る煽る。
たった数日の出来事なのに、こんなに長くてドラマチックなのか。

お酒は嫌いじゃないけど、決して飲みすぎないぞ!とこの映画を見て思う人は多いはず。
ryosuke

ryosukeの感想・評価

3.9
アル中の苦悩というストーリーを心理サスペンスにまで高めているのは、ワイルダーの緊張感溢れる演出と陰影の強い撮影に加えて、ミクロス・ロージャの不穏な音楽も大きいだろう。特にテルミンの音は、次第に幻聴あるいは悪魔のささやきにすら聞こえてくる。
次々にフレームインしてくる酒瓶の描写は、悪魔がそっと差し出しているような不穏さが漂う。
その悪魔は幻覚の中でのコウモリとして具現化される。ふとメルヴィル「仁義」の幻覚シーンを思い出す。壁の穴から出てきたネズミをコウモリが食い殺し、壁に沿って血が流れるシーンなどブニュエルかと思うような超現実的な仕上がりだった。
終盤、立ち並ぶ酒瓶越しに遠くの主人公を捉えたショットに表れるように、次第に主人公が酒を見つめているのではなく酒が彼を見つめているのだという感覚も生まれてくる。
バーのマスターの"That's all"は直接的には酒は一杯で終了だという意味だが、どこか予言的にも響く。
レイ・ミランドは熱演だった。焦燥感に追い立てられる目付き、落ち着かない挙動、会話の中で徐々に自暴自棄になっていく姿が生々しい。一文無しでバーのマスターに一杯だけ恵んでもらうシーンは、砂漠で貴重な水にありついたかのような鬼気迫る姿で凄まじかった。
ラストシークエンスは、コートのエピソード、質に入れていた拳銃、キスの際に主人公が屈む動作、上下逆のタバコを直すヒロインと、様々な要素を怒涛の勢いで回収しながら進む。
これまでの悪魔の代わりに神が手を差し伸べたような絶妙なタイミングでタイプライターが現れ、いかにも良さげな興味をそそる書き出しが生まれ、希望を見せる。ファーストショットを反対に動かし綺麗に締める。
...のだが、ふとアル中という設定による怖さにも思い当たる。主人公が店で盗みに失敗するシーンで、音楽に合わせた合唱により客が主人公を嘲笑するのだが、これがリアリティが無く、幻覚とも取れる。したがって、それ以後のシーンも現実か否かは確定出来ないようにも思われ、タイプライターの登場の出来過ぎたタイミングを思うと、果たしてこの結末は...。
しゅう

しゅうの感想・評価

4.2
字幕版を鑑賞。

レイ・ミランド演じるアル中作家のノーブレーキの堕ちっぷりがいっそ気持ち良い。最早、呑むや呑まざるやの葛藤の段階はとうに過ぎて、酒を前にすれば理性も尊厳も一瞬にして消し飛ぶアル中の病理が徹底的に描かれる。

アル中と作家と言えば、昔愛読していた中島らも氏の自伝的小説「今夜、すべてのバーで」を思い出す。

この本では、主人公のライターが自分のアル中ぶりを自己分析するのだけれど、その中で印象的だったのが「アル中は普通の人々が向き合っている"剥き出しの現実"を直視する事に耐えられない。だから世界との間にアルコールの皮膜を作っている。」という記述(大昔に読んだので正確では無いかも)。

これを読んで、現実に正対する事が苦手な自分の様な人間は容易にアルコール依存性に陥ってしまうのではと思えて恐ろしくなり、以来最低限の付き合い以外では決してアルコールを口にしないようにしている。

映画では、作家はアル中として味わった負の感情を作品として昇華する事で依存性を克服するが、中島らも氏はこの小説が評価されても尚連続飲酒が止まらなかったので、現実はより過酷なのかも。
売れない作家のレイ・ミランドと、彼を支える兄と恋人、それぞれのキャラクターに説得力があるように思えて、非常に面白かった。主人公は回想の中ですら、アルコール依存症じゃない時がなくて、その後の展開にも容赦がなくてすごいと思う(終戦の年にこんな作品が作られていたことにも驚いた)。

映画の冒頭、窓の外から主人公を横から写し、カットが変わって正面の顔が見えるとなっているけど、どうして窓から写しているのかが最後に分かって、うなった。

「名脚本家から名監督へ」
りせ

りせの感想・評価

3.4
あんな男のどこがいいんだ?

グローリアのベラハディッド感。
t

tの感想・評価

3.0
やっぱビリー・ワイルダーはコメディだな。これは作品をだせないアル中小説家の話でだるいのみ。幻覚のシーンは良い。ポランスキー監督『反撥』のような強烈さ。
takandro

takandroの感想・評価

4.1
天井に浮かぶ酒瓶!
とにかく飲ませろ飲ませろが凄い。ちょい役のグローリアがめちゃ綺麗。
シネマヴェーラ「名脚本家から名監督へ」

アル中の男のダメなところをダメなまま映していく。それが何故人を激しくエンターテインさせるのか。わからない。ただただ、観ている間ずっと楽しかった。クローズアップや円形の連関(グラスのあと、質屋のしるし)や上下運動(階段、「かがんで」)が功を奏しているのかもしれないけど、それだけじゃない気もする。「誰にでも身に覚えのある」と「誰にも理解されない」を両立しているのにエモーションを刺激されるし、論理で解決させないラストも見事。ワインやコートに宿るユーモアも気が利いてる。だけどその全てを持ってしても理解できない高揚感が観てる間持続した。あれはなんなんだろう。自分にとっては大きな謎のような映画。

部屋にゴッホの絵が飾ってあるのが気になる。あとグロリア嬢が好き。
Ken

Kenの感想・評価

3.0
小説家になると言って、書かない無職の36歳の主人公。

2019年のドラマにでもありそうなニートの話。

しかも、お兄ちゃんが家賃払ってくれるという。

この男になんでこんな可愛い彼女がいるのか。
彼女は彼になぜ恋しているのか。

さっっっっっぱり、分からない!!!

でも、病院あたりから面白くなってきた。

不思議な映画だ。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

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依存症映画の名作ですね。酒は飲んでも飲まれるな。お酒は怖いぞ。

作家志望のプータロー33歳アル中が、金も酒もない週末を乗り切れるかという話。禁断症状に苦しむアル中を第三者の視点で見せるのではなく、観客にアル中を体験させる様な作り。酒が切れてどんどんヤバくなっていく精神状態に観客も巻き込まれる。酒代が払えず盗みに手を染める瞬間のハラハラドキドキを、末期症状で見始めるおぞましい幻覚を、主人公と一緒に体験して行く。彼を依存症に追い込む精神的な問題がまた切実で。「大学じゃ天才って言われてた。俺の人生、19歳がピークだ」彼はなりたい自分になれなかった事で闇に落ちている。この映画、数ある「作家の書いた物語の映画」の中でも特に優れている。恋人のお陰で再び夢に向かっていく彼が語る小説のアイディアは、まさにこの映画の内容そのもので、始まりと終わりが非常に美しい円環構造となる。この構造自体はよくあるが、映像的にも徹底したものは多くないと思う。見所を挙げるとやはり撮影か。さすがノワールも手掛ける監督、光と影のおどろおどろしさが良いし、テルミン使った特徴的な音楽も相まってホラーのような印象。飲んだ酒の数を表すグラスの跡の演出や、空の酒瓶2本から数滴こぼれる酒のアップなど、あらゆる画面がスマート。隠していた酒を発見する瞬間のあの酒の影、まぁ怖いね。厚生施設のホラーっぷりも凄い。看護師の説明が恐怖そのもの。酒でボロボロのドロドロになった主人公が自殺の決意をした翌日、やたらシャキッとしてるのが妙に生々しくて一番怖かった。
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