昨今亭新書

007 スカイフォールの昨今亭新書のネタバレレビュー・内容・結末

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

1,2作目とかなりうーん…って感じだったので期待せず観たら、急にどうした⁉︎ってくらいの素晴らしい作品じゃないですか。これが観たかったんだよ。

間延びがちだった前作までと変わり、前半に一つピークを持ってきてからの後半でボンドの生い立ちというタテ軸をガツガツ掘り下げ、爽快なアクションからのラストで完全にノックアウト。

悪役へのトドメがシンプルなのもgood。1,2作目はアクション頑張ってるなーって印象だったけど、007ってアクション特化っていうよりはアクションありコメディありロケーションの綺麗さありの盛り沢山娯楽作品だと思うんですよ。時代が進んだ分昔のままって訳にはいかないけど、最後はカッコつけて出てきて倒すだけ、くらいの温度感が僕は好きです。

ここから重大なネタバレになりますが、ラスト数分の伏線回収はハッとしました。
ボンドガールだと思っていたイヴは実はマネーペニーで、Mの後任は敵対的だと思っていた政治家。Qもようやく登場していよいよメンバーが揃い、ここから007の物語が始まるわけで、そういう意味では真のMは彼なのでしょう。

じゃあジュディ・デンチ演じる元Mは何だったのか。僕は彼女こそがボンドガールだったんだと思います。今作のMは正直良いところなしで、判断ミスが目立ち、終盤はボンドに守られて「遅いわよ」なんて言う始末。上司としては不甲斐ない限りです。でもMじゃなくてボンドガールだとしたら、彼女の行動はピッタリ当てはまる。僕自身最後の方の老婆然としたMは可愛く見えていました(笑)

時代遅れになって久しい、女性を口説いては乗り換える「イケてる」ボンド像に代わり、新たに生まれたクレイグボンド。彼は母親にも似た憧れを今は亡き上司に密かに抱いて、死ぬまで孤独に戦うのでしょうかね。くーっ、カッコ良すぎ!