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007 スカイフォールのEDDIEのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.5
ボンドの出生やMの過去との対峙、過去2作からは一旦寄り道して単独作品として秀逸な出来に。ボンドの衰えが見えたのはシリーズファンとしては残念極まりないが、ラストでその懸念は見事払拭。やはりボンドはカッコいい。

サム・メンデス監督&ロジャー・ディーキンス撮影監督のコンビは安心できますね。それでいてただ安全パイなわけではなく、アクションシーンから一つ一つの撮影カットの美しさに唸るばかり。
しかし、007のシリーズ物として見たときにどうかということです。正直1本の映画として観るとめちゃくちゃ面白いです。なので、スコアは紛うことなき私の評価をつけさせていただきましたが、突っ込みどころが多いのも事実。まずはMI6本部や公聴会のセキュリティが甘すぎます。さらには007シリーズ史上ボンドガールの扱いがあまにも雑というか…

とはいえやはり作品としては大変見応えがありました。
以下、ネタバレ要素も入りますので、ネタバレNGの方はお気をつけ下さい。

まずは007シリーズの見所の一つであるオープニングまでの流れ。列車の上でハラハラドキドキな戦闘を見せられ、そこからダニエル・クレイグボンドまさかの銃殺!?ってとこからのアデルの主題歌をバックにしたオープニングとここまで百点満点!
MI6ではそんなボンドを亡き者にして追悼しているわけですが、そこからのボンドは海のそばの小屋で美女とよろしくヤってるわけです。これには笑っちゃいましたね。

個人的に好きなシーンが多すぎるんですが、大きく分けて3つ。
1つ目は上海での格闘シーン。エレベーターの下に飛び乗るボンドも凄まじいんですが、青いライトの背景色をバックにボンドと敵が影と影の状態で殴り合う。ここがあまりにもオシャレで、見入ってしまいました。
2つ目はハビエル・バルデム演じる本作のヴィランであるシルヴァがMI6から脱出するのをボンドが追うシーン。無線機がきっかけで一度はシルヴァを捕まえたボンドですが、次はシルヴァが無線機をアイテムにしてボンドを窮地に陥れます。あの列車が爆破された穴から落ちてくるシーンは豪快さ極まりなかったですね。
3つ目はクライマックスのお家騒動シーン。ボンドの生家に舞台を移し、シルヴァらと最終局面の対決に備えるボンドらですが、敵を出し抜いて爆破、ヘリコプターが家に墜落してくるシーンがあまりにも迫力ありすぎて声が出てしまいました。

ほかにも巨大トカゲのシーンとか酒場で謎の一気飲みからのサソリポーン!とか記憶に残る場面が多すぎて、一つ一つのカットにこだわって撮っているのが容易に想像できます。
またボンドがシルヴァを追跡するシーンなんて、ちょっと『1917』を思い起こさせました。サム・メンデス&ロジャー・ディーキンスは人物に焦点を当てて臨場感を演出するのが実に巧みです。そこにトーマス・ニューマンの音楽が手伝うわけですから盤石な布陣ですよ、これは。

あとはハビエル・バルデム演じるシルヴァが狂気。バルデムといえば『ノーカントリー』の狂いに狂った悪役ですが、本作でもそれを彷彿とさせる狂いキャラでした。もはやMI6を襲撃する動機がまた子供の逆恨みみたいなものなんですけど、ただ彼の醸し出す雰囲気が気色悪すぎて目が離せませんでした。

なぜか『007スペクター』だけを劇場鑑賞して、やっとダニエルボンド3作目まで追いついたわけですが、やはりこのシリーズ面白いですね。「スペクター」に至っては当時ダニエルボンド鑑賞デビューだったこともあり、話やキャラに全然ついていけませんでした(それでも面白いと思ったのは凄い)。4月公開の『007ノータイムトゥダイ』に向けて、もう一度「スペクター」を鑑賞して万全の状態で臨みたいと思います。

※2020年自宅鑑賞52本目
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