垂直落下式サミング

リメインズ 美しき勇者たちの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

2.8
千葉真一監督。女だけを襲う人食い熊「アカマダラ」とそれを追うマタギの死闘を描く。サニーが真田広之等JAC門下生を率いて(性懲りもなく)張り切った映画である。
人を襲った獣は、人の肉の味を覚えてまた人を襲うそうだ。実際には「人の味を覚えた」のではなくて、「人の狩りかたを覚えた」と表現するほうが適切なようだが、自然界の動物にとっては人間など牙も爪もない手頃な獲物に映るのかもしれない。アイヌの民族は、人を襲った獣は悪い神様(ウェンカムイ)になるとして、その肉を食わず他の動物と同じように神としては祀らないという。 強大な捕食者は邪悪の化身として人に恐れられる。
冒頭、女の人が熊に襲われ、首を噛まれてそのまま力任せに振り回されるという、なかなかショッキングなシーンからはじまる。そして、熊を倒すために集まったマタギ衆が登場し、足跡をたどって雪山を登る熱い展開に!これは血沸き肉踊る冒険活劇にとなるのではないかと大いに期待していたら、謎の女性の登場から物語が停滞する。
その女のどうでも良い身の上話回想に散々時間を使った後に、ラストまた時間軸が戻り、いきなりクライマックスになるというつまらなさ。
テンポが悪く退屈な映画だが、実際の熊の映像を交えて広大な自然の中を走り回る映像は迫力があり見ごたえがあった。