【葬られた歴史】
トルコ政府によるアルメニア人の大量虐殺の過去を捏造して社会派エンタメにして儲けようとする卑劣なクリエイターに異議申し立てをする青年の一途な思い。国家間のぎくしゃくしたポリティカルな面にまで言及したアトム・エゴヤン監督の力作。
セルゲイ・パラジャーノフ監督の『ざくろの色』を始め、絵画やアートなど非常に芸術的に栄えた国アルメニアを蹂躙したトルコ政府🇹🇷を絶対に許さない!といったエゴヤンの悲痛な叫びが聞こえてくるような映画になっている。踏み躙られてきた者の怒りがマグマのように噴出する。そんな映画。
たしかに作り手の主義主張がストレート過ぎて抵抗感を感じる(プロパガンダ映画的な)面もあるけど、重厚な映像美と独特な色使いはまさにエゴヤンならではの作家性。代表作『スウィート・ヒア・アフター』同様に重苦しい業を背負った人々の悔恨に満ちた寓話と解釈した。映画ならではの表現力があり、メッセージ性が一貫してぶれない素晴らしい作品。🤔