みかん

ニュー・シネマ・パラダイスのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

また好きな映画が増えてしまった…昨年不調だったのに今年見る作品良作が多い。私のピックが良くなかったのか…

映画好きトトと映写技師アルフレードの年の離れた親友バディ物語。
一見なさそうで、でも既視感があるのなんでかと考えてみたら「カールじいさんと空飛ぶ家」に通じるバディ感が今作にも感じ取れたのだと気づく。

幼少期・青年期・中年期の3パートに分かれてトトをフォーカスに話が進む今作。
3人の顔立ちの違いから同一人物としての印象は薄かったものの、3視点からのアルフレードに対する目線は変わってなくて、「ああ、やっぱトトなんだ」って。

幼少期パートはかなりコメディ寄り。トトがずる賢くてアルフレードに何かとちょっかいを出す。でもそれは彼の映画に対する興味と愛が生んだ純粋無垢な追求心の現れなんだよね。
私も幼少期から映画には慣れ親しんだ方だと思うけど、トトの映画愛には敵わない。

最初は追っ払ってたアルフレードも、トトを憎めなくなって「50リラ落としたよ」って映画料金無料にしてくれたり、仮病のトト自転車に乗っけたり、ずる賢さを知っててもあえてそれに騙されたふりをする姿がさながら本物の親子に見えてくる。父親が戦争から戻って来なかったからなおさら。

青年期トトはアメリカの一般アイドル映画みたい。蒼い眼のつれないブロンド美人が出てきて、こっちが見てて恥ずかしくなる様なアプローチを繰り返す様。「王女と兵士」ないしは「ロミジュリ」のようなロマンチックさにラテン系の陽気さが混じってる。神父席に勝手に入って罪許しちゃう所とか。カトリック信仰根強い国で作られたとは思えないぐらい。でもそれがトトのアイデンティティ。

監督としてローマで大成したサルバトーレがシチリア島に帰ってきて、アルフレードの葬式に出るシーン。
身体はシチリアに帰ってきてるけど、心ここに在らずって雰囲気がずっと漂ってる。これは長らく離れていた副作用なのかも。
でもその心と身体がバラバラになってるサルバトーレをちゃんとシチリアに帰したのは、やっぱりあのnuovo cinema paradisoだったっていう。
そこからサッカーくじ当てたナポリ人とか癖強セリフおじさん、例の夫婦など見知った面々にフォーカスがいって、「本当の意味」でシチリアに帰ってきたあの"トト"って位置付けになるの、ノスタルジー満載。

アルフレードがトトに残したフィルムもまたノスタルジーの結晶。
散々カトリックの思想統御で検閲されてきた数々のキスシーンを総集したオリジナルフィルム。
最後涙目になりながらかのキスシーン集を見るトトが絵になりすぎて。最高じゃねえか。
これは映画史に残る名シーンならぬ名ラストシーン。

あと、見ててオシャレだなあと思った所。

「ベタ惚れの男がいるの」に聖マリア像のカットはオシャレ。マリア像に見守られている中での甘ったるいセリフってなんか「親にダメって言われることほどやりたくなってしまう」人間心理みたい。
からの燃えてくマリア像。カトリックの統制から解放されるよ〜って後々の展開の伏線になってる。








ポスター貼りしてるおじさんが靴紐勝手に結ばれてハシゴから落ちちゃうシーン、
チャップリンオマージュなのかと思った。それともイタリアの喜劇王トトに由来してる?

共謀してカンニングするシーンめっちゃ可愛くない??

友達が引っ越す時の、幼少期ボッチャが見てる女がテイラー・スウィフトに激似。

立て直し後があのタイトルとnuovo cinema paradisoロゴなの、かっこいい。

撃たれたシーン見てショック死しちゃう人の扱いもオシャレ

「いい天気だね」で雷鳴るの草でしかない

電話口で怒るおじさん好き。からのトニーノ、マンマって台詞先読みするおじさんも好き。

エレナとの話を中断した老婦人を早く返そうとして「許されました」って言っちゃうのだめでしょwwwww

トトママが編み物のこと忘れてて玄関出ちゃうのかわいい

テーマソングのフルートの音色がめっちゃ綺麗
フルーティストとしてこれは演奏してみたいと思った、
みかん

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