みづき

ニュー・シネマ・パラダイスのみづきのレビュー・感想・評価

5.0
テレビ登場前の映画全盛期、イタリアの田舎町の話。街の唯一の娯楽であった映画館に、人々がこぞって押しかけた時代。
この作品の根底にあるのは圧倒的な映画愛。映画を愛する者同士の世代を超えた友情、楽しかった映画館、カットされたキスシーン、笑ったり驚いたり野次を飛ばしたりしながらみんなで観たあの映画たち。映画を観る姿を撮ったシーンにかなりの尺が割かれている。

でも「あの時代はよかった」なんてノスタルジーに浸ることは許さない。老いた映写技師アルフレードは成長したトトに、街に出ろ、絶対に戻ってくるなと言う。何もない、代わり映えのしない街に若者がずっといてはいけない。歴史の浅い映画という芸術もまた、ノスタルジーに浸っていては今後の発展もイノベーションもない。そんなメッセージを感じた。

エレナとトトのラブストーリーが美しい。告解室での会話のカットが格子窓越しなせいですこしぼやけていて、夢心地な気分を盛り上げてくれる。若者2人もより美しく映る。このロケーションによってクローズアップショットが活きるのがうまい。
エレナはなにを告解しようとしていたのか?2人の恋の顛末含め謎が残る点もまた美しい。完全版を観ると判明するみたいだけど見るか迷うな。

エンニオ・モリコーネの音楽もすばらしいしもう言うことないよね。映画が好きでよかったと思わせてくれる作品。
みづき

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