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ピストルと少年のあのレビュー・感想・評価

ピストルと少年(1990年製作の映画)
3.8

ピストルを突き付け興奮しているかと思えば、子供らしく甘えた一面を見せる少年。
どっちつかずの不安定な精神に揺れる、反抗期真っ盛りの彼に巻き込まれて、情ゆえに揺さぶられる姉とデカ。

少年は決して本質的な悪人では無いわけであって、寧ろ純粋由来の逸れ方であり、デカとの会話の際、一方的に喋るかと思えば、しっかり相手の言葉を受け入れる心を持ち合わせている。
少年に限らず、彼らはそれぞれ不器用だけれど、向き合うことの必要性を理解していた。

相手を想う心、解ってあげる気持ち。人と人ってこういう事だよね、と再認識させられる。

物語は至ってシンプルだけれど、人間味を感じられる心の複雑さが、あちこちに散りばめられていて、瑞々しさと乾きの混在のような、終始曖昧な、あの感じが良かった。あの3人の時間が好きだった。

ラストがあっさり終わってしまったために、少年のその後が気になってしまう。
あ