あさんの映画レビュー・感想・評価

あ

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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.3


洒落た詩的な言葉が煩雑に羅列しているから、過剰摂取による消化不良を起こす。その感覚は、辛く退屈で二度と繰り返したくはない人生の億劫さを禁じ得ない。そして、焦らされ、お預けを食らっているそのひと時は、
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます


法をもぶち壊す、突飛なアクション作品ではないということ。

法という、リアリティに則って展開されることで、エンターテイメント(ミュージカル調の空想)も反発するように飛躍する。
必然といえば必然であり
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生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

3.8



「明日から ご飯喰べてやるのよそう」

みてくれのカッコ良さと、本質的なカッコ良さの違いをまだ知らない子供たちは、家庭における父の権威に違和感を持つ。そして、その純粋な疑問によって、精一杯の抵抗を
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東京物語 4Kデジタル修復版(1953年製作の映画)

3.9


東京が作り出す物理的な距離と忙殺される日々によって、親と子の心の距離も着実に開いていく。すると、無関心にも似た独特な薄情さが現れ、古き良き日本で生きる家族の変わりゆくありのままの形が生まれる。

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東京の宿(1935年製作の映画)

3.3


人情のもと、不器用なルンペン男の自己犠牲によって、一つの魂が救われた。

その背中は、美徳とはとても言えないけれど、憎めもせず嫌いにもなれない人間としての無骨な味わい深さがあった。

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます



笑うことで、本当の悲しみに蓋をし続けてきたこれまでの人生。母親にいつも笑っているからハッピーと呼称されるアーサーにとって、笑いとは自己防衛であり、笑いへの固執は必然的にコメディアンへの憧れとなる。
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関心領域(2023年製作の映画)

2.8


現実的かつ自然だから、前提されるものに関心が希薄になるのも無理はない。

終始固定カメラの視点で物語は進む。
スタジオ撮影みたく、書割にも似た錯覚に陥ることで、箱の中の閉塞感、そして自然ゆえの異質さ
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化け猫あんずちゃん(2024年製作の映画)

3.8



キャラクターの動きと、自然なCVがより現実味を生み、それに矛盾するように、非現実的な世界観が展開されていくから、この違和感はクセになり、緊張と緩和の優位性を切り替えつつ、落ち着く場所へ、巧く落ち着
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ターミネーター2(1991年製作の映画)

3.8


かつての敵であったターミネーターが今度は仲間となって、最新型ターミネーターと対峙する。

よくあるバトル作品の典型パターンではあるけれど、あの最強とも思えたターミネーターをも上回る最新型の力に、絶望
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ターミネーター(1984年製作の映画)

3.7


人造人間。タイムスリップ。今となっては聞き馴染んだコンテンツが集約された元祖のような作品であるけれど、
それでも、手に汗握る攻防に引き込まれて早く2が観たいと思えてしまうのだから、やっぱり「ターミネ
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初恋(2006年製作の映画)

3.4


言い訳がましいけれど、憂さ漂う若者なりの不器用な意思表示であって、権威が、時代が彼らを曇らせたと言える。

そして、恋心を伝えられない二人は、共犯者としてでしか疎通ままならず、その関係すら、あぶくの
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東京画(1985年製作の映画)

3.7


「混乱増す世界に、秩序を与える力を持つまなざし。世界を透明にしうるまなざし」

敬愛する小津映画の持つ、優しく秩序ある神話的東京はもはや存在せず、そのまなざしを持つことも不可能になった80年代の東京
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

3.4


視覚芸術的で文学的。タイトル通りの壮大な物語である。

人類が進化を遂げ、文明が高度に発達しようとも、その運命は決して逆らうことのできない自然現象、そして死と直面する。

人類は絶対的な存在に諦念し
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真夏の素肌(2014年製作の映画)

3.7


オーリャとサーシャ。少女ならではの愛の渇きを抱え、それ故に気を引くための愚行と、紛らわすための非行を繰り返す。

そして名前同様、またはそのせいなのか、人格まで入れ替わったように繊細な少女たちの心は
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川の底からこんにちは(2009年製作の映画)

3.5


綺麗事ではない中の下のような大した事のない人間の人生で起こっている事だから、しょうがない。

母親の死から、どうにもならないことがある事を知った佐和子は、仕事と恋愛の失敗を経て、いっそ何もかもどうで
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.4


日本に馴染み深い災いである「地震」をテーマに人々の喪失と再生を描く。



たとえ、過酷な運命を背負い失ったとしても、人の優しさが一入身に沁みて、ありがたく思えるような明るい未来が待っているから。
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都会のアリス(1973年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます


「物事が変化するなんて思えなくなる。自分さえ消える。まるで自分が他人みたいだ」

「自分を見失ったら、見るもの聞くものすべて通り過ぎるのよ。だから、自分が存在する証拠が欲しいの」

自己を省みず、現
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まわり道(1974年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます


言葉は哲学なのに、行動はまるで子供のように刹那的であり、それが齎す受容さは、不審がどこかに置き去りにされているような光景である。当然のように一人、またひとりと増えていき、警戒心よりも、妙な落ち着きに
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必殺! 恐竜神父(2018年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます


復讐心に恐竜の暴走と貞操崩壊が都合良く上乗せされたことで、闇堕ちまではそう長くはなかった。

使命だとかこつけたのち、必殺技と称しシンプルに首をもぎ取る恐竜神父。タイトルの組み合わせについ惹かれ、見
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怪物(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます


「謝れば済む」

無機のような人間たちによって、愛があしらわれる。中核を保持するために、都合良く末端として切り捨てられる。集団において多様性を理解されず馬鹿にされる。

まるで、この世という不条理の
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劇場(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます


一つ屋根の下、まるで対義のような真逆の性質を持つ男女が共生する、都会暮らしの日々。
やはり特筆すべきは永田という男の、その心理だろう。
他人の原付で永田が公園を周回する場面において、感情の整理をしつ
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.6


自閉症を知っていることと、触れ合って体験することの異なる現実的な難しさを描いた作品。

地域に自閉症の方がいるのだから、みんなが優しい心を持って仲良く暮らしていこうね。
大した問答のない、こんな道徳
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ルックバック(2024年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます


「出てこないで!!」
選んだ答えによっては、もしもの世界線のように、京本は死なずに済んだのかも知れない。ふたりはそれぞれに好きなものに触れて、平和に成長していたのかも知れない。

夢を持ったせいで、
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13日の金曜日(1980年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます


初見ということもあり、てっきりあのジェイソンが殺っているのかと思いきや、今作ではまだ仮面のジェイソンは登場せず、殺人鬼はその母親。

息子を過去に失った怨恨から、
無関係な若者たちを理不尽かつ、残酷
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ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

3.3


言わずと知れたマシュマロマンや、ゴーストバスターズのテーマ曲、そしてお笑いの古臭さが癖になる。
80年代のアメリカンコメディを楽しむにはもってこいの作品。

ベイブ(1995年製作の映画)

3.4


ベイブが優秀だったから、ご主人に生かされていただけの話であって、運悪く事が運んでいたらと思うと、なんとも現金な関係である。
ハッピーエンド!ベイブかわいい!そんな楽天的には収められないリアルが尾を引
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時の支配者(1982年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます


ただのSFアニメではない。

当時の時代背景は分かり兼ねるが、これは現代人に対しても、問題提起された風刺的な作品である。

ある星において、個性を捨てた思想の統一こそが、幸福と考える「名前も顔もない
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グーニーズ(1985年製作の映画)

3.3

子供向けのベタな冒険モノ。
だからこそ、たまに観たくなる。

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.4


溢れ出す一連の恣意的言動は、これまでの抑圧の程が窺える。そんな人間が自由を求めたならば、必然的にその自由は不自由を冠することになる。

奇しくも、我が子に読み聞かせた詩のピエロになった、不器用な生き
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

3.9


「一期一会」「諸行無常」の四字熟語たちをそのまま映像にして、クスッと笑えて、ほっこりと心の芯から柔らかくなるように味付けしたような作品。

だからこその唐突な展開であり、突っ込まず、掘り下げず受容す
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土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

3.6


自然の中で暮らし始めると、必然的に自己対話の時間が生まれ、自身の死生観がより輪郭を成して明確になる。

根源としての生。生の自然な形。

テレビやスマホ、人間交流や仕事に忙殺される情報過多な日常によ
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ニューヨーク東8番街の奇跡(1987年製作の映画)

3.4

宇宙ロボットの恩返しに心が温まる。

未知の存在を通して、崩れ掛けたそれぞれの心が一つになっていく。ただただ、身を委ねて感じていられる、スピルバーグ作品ならではのほっこり満載の作品。

チャイルド・プレイ(1988年製作の映画)

3.1


ベタなのに、色褪せずしっかりと怖い。
さすが名作。