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お気にめすままのSPNminacoのレビュー・感想・評価

お気にめすまま(1992年製作の映画)
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90年代のジャック・ニコルソンは何故ロメコメが多いのか、どこに需要があったのか謎…。犬の訓練士ハリー(ニコルソン)は女性蔑視で人種差別で嘘つきなくせにデカい態度で余裕かますという、今なら恋の相手などあり得ないキャラクターだ。いくら時代とはいえ、これはキツい。なのに、キュートなエレン・バーキン演じるジョーンは受け身なお人好しで、彼女好みに装ったハリーにすっかり騙されちゃう。
展開の軸となるのはジョーンを襲う謎のストーカー侵入者(正体はあの人だとバレバレ)や、富豪(ハリー・ディーン・スタントン)による妹の誘拐監禁事件だが、それが単に「男がらみの問題」とされていて、女性への脅威や被害は悉く軽んじられる。身を守るための番犬も男の欲望のメタファーだし、いっそホラーだ。女性を犠牲者として消費するホラー映画をTVで観るジョーン自身が無自覚にそのヒロインになってる、という皮肉を敢えて挟むけど、その皮肉はハリーに向けられるべきでは?
もちろんハリーは恋によって改心する=ジョーンの忠実な番犬になってハッピーエンディングだが、問題は何も解決しないまま。てか、そこも女性側次第ってことで丸投げ!
ニコルソンはどんな時も顔面だけ大きく感情を出すのに不自然なくらいずっとささやき声で、なんなんだろう…クライマックスの叫びを強調するための演技テクニック?声帯弱いの?シェイクスピア「お気に召すまま」を下敷きにしてるようだけど、ほぼ原型を留めてなかった。
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