バナンザ

レベッカのバナンザのネタバレレビュー・内容・結末

レベッカ(1940年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

«香水のように思い出を瓶に詰められたらいいのに 決して色あせず 蓋を開けば思い出をいつでも引き出せる»
軽快なテンポで展開されていく一つ一つのシーンがバックグラウンドで流れる音楽に導かれ、印象深く巧妙に造られているように感じた。アルフレッド・ヒッチコックは、「映画は退屈な部分をカットした人生である」と語っているが、レベッカはまさに退屈な部分をすべてカットした濃密なシーンづくりがなされている。
前半部分は、ヒロインが恋に落ちていく過程を少し粗末ではないかと感じることがあったが、詩によって理想化されたレベッカへの恐怖・比較されることで植えつけられる、押しつぶされるような緊張感は、サスペンスの巨匠らしい巧みさであった。冷淡な目つきと凍り付いたような背筋、冷たくとがっているダンヴァース夫人のセリフは、陰の主人公であるレベッカと重ね合わさって、触れることのできない恐怖がカタチを伴っていつも近くに潜んでいるかのような心情に陥らせる。後半部分は、隠されていたレベッカという人物がだんだんと明らかになっていき、『一人が考えていることは皆がそう思うものではない』ということを強く訴えているような、すり替え事象がとても魅力的であった。
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