えりーぜ

ビフォア・サンセットのえりーぜのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
3.5
あぁぁ。
ジェシーの視線や口元や全身から「好きだ好きだ」って気持ちが溢れてて、苦しいぐらい。セリーヌはそれをはぐらかすみたいに拒絶するみたいに視線を外す。
でも、本当に忘れてたら会いに行かないよ。何かを期待するのでなかったら、ああして時間を過ごさないよ。

ロマンティックで未練がましい男と、インテリで男なんていらないと言わんばかりのパワフルな女って構図は前作から変わらない。でもセリーヌの側に、そんな自分自身をもて余し気味の嫌悪感と過去への後悔がある。
彼女は本当にウィーンに行くつもりだったのかな、祖母の葬式がなくても行かなかったんじゃないかな。
あの頃の全てを持って可能性に満ちてた彼女なら、その選択は妥当だったかも。でも彼女も年を重ねて、過去をセンチメンタルに思い返して惜しくなっている。今の自分が惨めになる。
その焦燥をジェシーにぶつけてるの。ごめん、面倒くさい女でごめん。
満たされない結婚生活を言い訳にセリーヌに迫るジェシーも卑怯な気がするけど、でも彼は本当に純粋にセリーヌが好きなんだなぁ。それはひょっとしたら愛情じゃないかもしれない、憧れやトキメキのような恋そのもので、ただもう少しもう少しって、別れを引き延ばす気持ち。それがあまりに切なくて苦しいよ。