半兵衛

さよなら子供たちの半兵衛のレビュー・感想・評価

さよなら子供たち(1987年製作の映画)
4.5
序盤は『新学期 操行ゼロ』みたく全寮制の厳しい学校で子供たちが活発にいけない遊びをしたり何気ないけれど愛おしい時間を楽しんでいるからこそ徐々に滲み出す第二次世界大戦の影がいっそう不穏な気分にさせる、そしてあの後半のゲシュタポ侵入からの戦争の空気が入り込む場面はどんな戦争映画よりも怖さと緊張感が凄まじくて目を見張る。

ルイ・マル監督の作風は他のフランスの映画作家に比べてオーソドックスな印象があるけれど、本作ではそれが淡々としているけれどかげがえのない日常が異物によって壊される恐怖と酷さを静かに強調する演出となり下手な声高な反戦メッセージより深く心に響いた。

終盤の生徒による一斉の「さよなら」からの、主人公の戦争の惨さを見事に表現した顔立ちで終わるラストカットまでのシークエンスは一生忘れないと思うほどの高い完成度だった、そしてそれが現実であったことというのが見るものを更にやるせなくする。
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