ロアー

オペラの怪人のロアーのレビュー・感想・評価

オペラの怪人(1943年製作の映画)
3.6
楽団をクビになってお金もないのに、自分が見そめたクリスティーヌに貢ぐために頑張った挙句、出版社にも騙された怪人・・・かわいそうではあるものの、何か、、、そうじゃないよね?怪人というより哀れなおじさん過ぎて観てて辛かった。

ここまでのオリジナル要素で映画の半分を使ってるから、確かにこれは「オぺラ座の怪人」ではない。怪人も、推しの子がトップに立つためなら手段を選ばないタイプの勘違いしたヤバいファンでしかなかったし(まあ、それに関してはALW版でもそうだけど)。

一応、クリスティーヌと怪人は実は親子という裏設定があったらしくて、結局、最終的にボツになって映画には匂わせだけ残ったらしいんだけど、クリスティーヌを地下に連れて行った先で、怪人が大分キモイことしか言ってなくて引いたので、やっぱりただの勘違いしたメンヘラファンとしか思えませんでした。

しかも当のクリスティーヌは歌よりも男に興味がありそうなタイプ。
クリスティーヌを巡ってバチバチするはずの2人がある意味仲良し過ぎて、いっそ2人が付き合えばいいのにって思っちゃうパターンだった。
お互いを目で牽制し合う時に無音になるところで笑っちゃったし、2人とも顔の系統が一緒過ぎてクリスティーヌの好みが実にはっきりしてた。
というか、クリスティーヌっててっきり自覚があって男を手玉に取っていると思っていたら、顔だけじゃなく頭もかわいいタイプだったので、ならまあ仕方ないか。でも、歌姫が倒れて代役に抜擢された時、めちゃくちゃ笑顔だったからやっぱり性格悪そう。そういう時は形だけでも心配しておかないと。

ここまでわりとボロクソ言ってしまったものの、私、この映画結構好きでした。というのも、劇中劇のシーンでショパンの「ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2」をオペラにしていて、めちゃくちゃテンション上がったから。アレンジが好き過ぎて、そのシーンだけ5回もおかわりしました。
次の「夜想曲第2番 変ホ長調 Op.9-2」も良かったし、クライマックスのオペラの曲はチャイコフスキーだし、しかもマエストロはフランツ・リストという設定で・・・え、何これ?内容はともかく音楽良過ぎ!と思ったら、やっぱり音楽面(のみ)で評価が高い映画みたいです。確かに他はちょっと残念だったもんね。

あと、あんな糸のこであんなぶっとい鎖を切るのは無理過ぎだし、怪人は「SAW」のゴードン先生に謝った方がいい。
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