おてつ

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のおてつのレビュー・感想・評価

4.5
 あるドイツ人女性は夫と生き別れアメリカ西部の砂漠を彷徨った果てに閑古鳥が鳴く小さなカフェ兼モーテルを見つける。そこで出会った常に不機嫌な女主人とその個性溢れる家族、そして変わり者の常連客と触れ合うことで湧き出る活力と希望。寂れたバグダッド・カフェがあらゆる人々の憩いの場となる過程に心癒される。

 ドイツ人の女性の多少の差し出がましさが棘となり女主人との間に軋轢が生じる。しかし、そんな誤解や無理解をやすやすと超えていく友情。その追い風を受ける最中で人種や国の違いという桎梏で足止めを食らおうと、詰まるところは自身の行動力に全て委ねられ、状況を好転させることができるのだとドイツ女性を見て感じた。

 ラスベガスという、ある面ではアメリカンドリームを体現したような場所へ向かう道半ばで何もかもが水泡に帰すドイツ人女性。“バグダッド・カフェ”はそんなラスベガスへ向かう砂漠の真ん中にあるというのが面白い。幸せや夢は何処に行っても掴み取れることの証なのか。
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