紅梅シュプレヒコール

大脱走の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

大脱走(1963年製作の映画)
4.2
ドイツ軍の捕虜収容所に集められた脱走常習犯達が、大規模な脱走を試みる姿を描いた言わずと知れた名作

恥ずかしながらクラシックに疎いので未鑑賞のままだったのですが、観ないでいるのもどうかと思い鑑賞

約3時間に及ぶ長尺作品であったにも関わらず、長さを感じることなく最後まで楽しんで観ることができ、確かな満足感を味わえました

一切の無駄がなく進行していく物語には、常に動きがあり、退屈を感じる暇などない

大脱走を計画するメイン集団から離れ、別働で脱走を企むスティーヴ・マックィーン演じる〈ヒルツ〉の存在が、物語を単調になってしまうことを阻止していますし、細部にまでこだわって再現された脱走手順の組み立てには、工作を見ているワクワク感があり楽しい

また、劇中多数の人物が登場しますが、それぞれに役割が割り当てられているのに加え、演者の雰囲気も千差万別なので人物把握が難しくなく、誰が誰かわからないストレスがなかったのも良かったです

クライマックスまでしっかり見応えがあり、名作と言われる理由が納得できる見事な一作

(事実を題材としているが故)大団円では終わらないのに、しみったれた悲壮感がラストにないのが魅力的でした