ゆう

おばあちゃんの家のゆうのレビュー・感想・評価

おばあちゃんの家(2002年製作の映画)
5.0
長い白髪を後ろで束ね、質素な着物姿で、腰がすごく曲がっているのによく働き、決して贅沢はせず、そんな映画の中のようなお婆ちゃんが、私がほんの子供の頃に身近にいた。

畑仕事で日に焼け苦労を苦労とも思わず必死に生きてきたその皺だらけの姿は、今の70代とはまるで違うほど老いて見えた。自分のことより人のこと、誰かに尽くしたいというよりは、それが当たり前かのように、自然に尽くしていたように思う。私の生まれ育った昭和の日本の田舎にも、映画の中のようなお婆ちゃん達が存在していたのだ。

孫と初めて会う時のお婆ちゃんの表情から、そんなお婆ちゃん達を思い出し、胸がギューっと締め付けられる思いになった。感動とはまた違う。自分でも説明がつかないけれど、ノスタルジーとでも言うのかな。

サンウが特別に生意気な子というわけではなく、子供なんて大体あんなもんで、ああやって人との関わりの中で成長していくのだと思う。人の心の成長に必要なのは、温かい心の交流なんだよね。お婆ちゃんとの心の触れ合いの中で少しずつお婆ちゃんへの気持ちが変化していく姿が愛おしい。都会に戻れば、また元のサンウに戻るのかもしれないけれど、お婆ちゃんの無償の愛に包まれたサンウが、最後にカードを渡し胸を擦る、優しい姿に心温まる。お婆ちゃんもまた、愛をもらった。

お婆ちゃんに寄り添って温かい気持ちになり、最後まで胸がギューって締め付けられて、いつまでも余韻が覚めなくて、そんな特別な作品だった。

今もどこかの山奥の過疎村には、あんな風なお婆ちゃんがいて、全てを受け入れて自然体で生きているだろうな…と想像すると、また胸がギュットなる。

私に孫ができたとしても、ただお小遣いをあげるだけのお婆ちゃんではなく、温かい大きな愛を与えられるおばあちゃんになりたいなぁ。
ゆう

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