匂

サタデー・ナイト・フィーバーの匂のレビュー・感想・評価

3.5
ダンスパーティーが舞台なので勝手に爽やか青春サクセスストーリーかと思っていたら存外に湿度が高くて驚いた。
主人公は白人、中流家庭、美丈夫で女は引くて数多と、ある程度の身分は確立された強者であり、その視点で物語は展開されていく。
しかし、家に帰れば主人公は低所得で借家もなく、家庭不和の実家に身を寄せるしか無いという苦しい立場。
いかにも都市部の若者で生々しい。

序盤、狼たちの午後を真似てアッディカとおどけるのに街を歩くクィアのカップルには不寛容なのがこの時代を象徴していると感じた。
なにかの伏線かと思いきやただの情景描写でよく時代観を映していると思う。この作品が普遍的である要因の印象的なカットのひとつ。

最終的に自身の産まれながらの社会的地位の懐疑や将来への焦燥を感じながら結局彼女とのあやふやなラブストーリーとして終わってしまいはっきりした結末が無いのが消化不良でモヤモヤする。

視聴後の感想としては単純に青春物としてこの作品を消化して良いのか、公開当時に産まれてすらいない身としては余りにも価値観が違い過ぎて判断に困る。
匂