レオス・カラックスの商業デビュー作。ある意味、ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』と双璧を成す80年代を代表するお洒落/ミニシアター映画。
個人的にはこの監督のあからさまなルサンチマン的世界(?)にちょっと苦手意識を覚えることもある。これはヴィンセント・ギャロ作品などにも言えることだけど。作風が独り善がりというか自慰的なのだなぁ。
この監督の後の『汚れた血』や『ポンヌフの恋人』や『ポーラX』みたいなはじけた演出は無いにせよ、やはり卑屈で陰湿なマニア志向の映画だと思う。一人でコッソリ観るAVみたいな味わい。モノクロ画面がソリッドで、虚飾を取っ払った感じが素晴らしい。
また主演のドニ・ラヴァンがフランスの底辺に生きる鬱屈した若者像を体現しておりとても清々しい。彼の醸し出すオーラでどうにか持っている映画。監督自身の恥部を赤裸々に曝け出す作風がどこかパンキッシュにも感じられる青春映画の佳作。