菩薩

約束の土地の菩薩のレビュー・感想・評価

約束の土地(1974年製作の映画)
3.7
ストーリーを掻い摘んでしまえば至極単純なお話で、ユダヤ人・ドイツ人・ポーランド人の仲良し三人組がクッソみたいな世の中を若い力でひっくり返そうぞ!と結託して自分達の繊維工場を建てる為に各々金策に走る、みたいな話だが、もうこのヴィスコンティ×ズラウスキー×ブニュエル×オリヴェイラみたいな文字通りの怪作にストーリー云々は関係無いような気がしてしまう。まさかワイダの作品の中で酒池肉林の乱交シーンを観るとは思わなかったし、大きな車輪(?)に巻き込まれて粉々に吹き飛ぶ肉片を観るとも思わなかった。終始狂ってるし不穏で不気味、顔面への不自然すぎる寄り方(ズラウスキーっぽいのかな?)と各人の目は笑ってないほくそ笑みの連発がキモすぎる。いつしか社会に発生し、産業革命を機に超拡大した貧富の格差、金持ちには貧乏人の気持ちは分からず、貧乏人に金持ちの気持ちは分からぬ、そう言えばこの国の財務のトップのセメント屋さんのボンボンも最近「運が無いんじゃね?」と切り捨てたっけね…。一度は全てを手にした彼ら、その野望は脆くも焼け落ち(工場全焼のシーンはもはや事故)文字通り裸一貫に、と思ったらすぐさまリカバリー、そして彼らは旧世代と同じ傲慢さを身につける。この映画のラストシーンはそのまま現代社会に通じる、頑張ろう労働者諸君…俺らも一応「人間」なんだから…。
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