約束の土地の作品情報・感想・評価

「約束の土地」に投稿された感想・評価

mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

3.0
アンジェイ・ワイダの未見作品がもうVHSしか残っていないのでだんだん大変になってきた(笑)。19世紀末のポーランドを舞台に、工場を立ち上げて一獲千金を目論む若者3人の「色々あった」的な人生を描いていく。これが作られたのは1974年だからまだ自由な作品が作れない共産主義政権全盛の時代。血気盛んに権謀術数の限りを尽くして出し抜き古い世代と闘ってきた彼らが結局は...という皮肉たっぷりの展開に相変わらず「当局を納得させ公開を許可せざるを得ないような資本主義の堕落ぶりの描写」と「見応えある栄枯盛衰の人間ドラマ」を両立させているなあ、と感心。
nagashing

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4.5
美術や衣装が眼福なので、長丁場のコスチュームプレイはどうしても点が甘くなってしまう。オペラハウスにおける舞台、平土間席、ボックス席の視点と感情と情報の錯綜、揺動するブランコのショットの迫力と臨場感が最高。工場の紡績機をリズミカルにあやつる女たちの二の腕は、好色な社長がムラつくのも無理からぬ艶かしさだし、蒸気を吐き出しながらおどろおどろしく回転する車輪は、期待どおりスプラッターとしての役割を果たしてくれる。血、衣装、排水、食堂車の内張の赤は、もちろん火災の赤へと結実する。
この監督が旧貴族〜資本家階級を主役にすえたのにはとまどったけど、大勢との緊張関係みたいなところはいくつかの代表作とも共通しているし、エピローグにおける対立は完全にいつものワイダで、「ここにたどりつくのか」と感無量になった。『ドラクエIII』感がある。全体的にイデオロギッシュな告発調が退潮し、したたかさとシニカルさが前景化しているのもよい。躁的な人物たちの大仰な演技もひたすら楽しい。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.7
ストーリーを掻い摘んでしまえば至極単純なお話で、ユダヤ人・ドイツ人・ポーランド人の仲良し三人組がクッソみたいな世の中を若い力でひっくり返そうぞ!と結託して自分達の繊維工場を建てる為に各々金策に走る、みたいな話だが、もうこのヴィスコンティ×ズラウスキー×ブニュエル×オリヴェイラみたいな文字通りの怪作にストーリー云々は関係無いような気がしてしまう。まさかワイダの作品の中で酒池肉林の乱交シーンを観るとは思わなかったし、大きな車輪(?)に巻き込まれて粉々に吹き飛ぶ肉片を観るとも思わなかった。終始狂ってるし不穏で不気味、顔面への不自然すぎる寄り方(ズラウスキーっぽいのかな?)と各人の目は笑ってないほくそ笑みの連発がキモすぎる。いつしか社会に発生し、産業革命を機に超拡大した貧富の格差、金持ちには貧乏人の気持ちは分からず、貧乏人に金持ちの気持ちは分からぬ、そう言えばこの国の財務のトップのセメント屋さんのボンボンも最近「運が無いんじゃね?」と切り捨てたっけね…。一度は全てを手にした彼ら、その野望は脆くも焼け落ち(工場全焼のシーンはもはや事故)文字通り裸一貫に、と思ったらすぐさまリカバリー、そして彼らは旧世代と同じ傲慢さを身につける。この映画のラストシーンはそのまま現代社会に通じる、頑張ろう労働者諸君…俺らも一応「人間」なんだから…。
アンジェイ・ワイダ監督にしては珍しいタイプの作品です。どこか高貴な香りを漂わせつつも、一人の人の半生をしっかりと描写してるところはルキーノヴィスコンティ監督作品を彷彿させます。
元々の関係は分かりませんが、男三人組が片田舎の町で会社を設立しようとします。その町そのものと彼らの親が昔気質と言うのが適当か分かりませんが、三人組の野心家ぶりには異端さがありました。所謂マネーゲームのような感覚で、血の通わないビジネスマンぶりは現代的でありました。
資金の操作だけで手に入れた財は身に付くはずもなく、人間性が伴ってこそ初めて本物になるという教訓を感じます。
前半は経営者が簡単にリストラ等の人員整理をし過ぎるという社会批判を描写しております。そのツケは自分たちに返ってくる後半は、作品のプロットを見事に回収してると思いますね。
主人公カルロは頭がキレるが、仕事だけでなく異性関係でも派手でありました。結局天罰を下された哀れな男になってます。上に立つ者の質を問いかける良質な社会派作品だと思います。
ロラン

ロランの感想・評価

2.5
弟子のズラウスキーの狂気を逆輸入したような映画だけど、『悪霊』と同じく、ワイダにそのような作風は向いていないと思う。映画の終わりに青春の果ての侘しさを感じさせるのはワイダらしい
slow

slowの感想・評価

4.0
決してこのジャケットは、変態が突っ立っているわけではない。

19世紀末のポーランドでは、繊維工業が盛んだった。とは言え潤っているのは搾取する側だけ、労働者達は過酷な冷遇にその日暮らしもままならない。
この状況を打破したいと立ち上がった青年3人の友情と成功の物語。

女性を軽視する発言をし、批判を受ける人っているよね。金持ちとか権力者とか。本作でもその思考を持った富裕層が描かれていたり、従業員を駒以下に扱っていたり。その酷さを前半ではじっくりと観客に見せつける。
劇場で馬鹿騒ぎしているシーンなんてブニュエルの狂気を想起させた。
後半に向けて、青年達の奮闘が描かれる。もちろん簡単にはいかないのだが、何がきっかけで事態が好転していくかわからないもの。しかし、そうなっても転がっていると言うことを忘れてはいけないのだ。

見応えのある社会派映画だったけれど、もう少し3人のエピソードなど見せてくれたらより入り込めたかもしれない。するとさらに長尺に…無理か。
田舎の風景はとかく幻想的であり、町と比べると天国にすら見えた。工場内の様子も迫力があり、町の建物は実際にあるものを利用したそうで、歴史を感じられるのも嬉しかった。

情熱の炎はとても眩しい夢のようだ。しかし、不自然な風がそれを煽っていることも忘れてはいけない。

このレビューはネタバレを含みます

時は19世紀末、産業革命の波と資本主義、富裕層と労働層、天国と地獄の扉は今ここに開かれたのであります!

もうね、これ19世紀末が舞台なんですよ。

新しい機械を入れたからお前らは来週解雇だとか、上司の言う事は絶対とか、怪我したらそのまま使い捨てとか

低賃金で日々の生活がやっとの労働者
富を持て余して、毎日がどんちゃん騒ぎの富裕層

映画観ながら、痛いくらいのデジャヴ感を感じ、時折軽いめまいを起こす21世紀の非正規労働者なのです。
人間全然進化していなぁ~い。(@_@;)

そんな悲惨極まる労働者と対比して、自分達が経営者になって変革を起こそうと奮闘する三人の若者。
ポーランド人のカルロ君
ユダヤ人のモリツ君
ドイツ人のマックス君
工場を作る為の資金集めや工場の立ち上げ、時に衝突しながらも目的の元に結束し行動を起こす彼らの姿はまさに青春。

若さっていいな、頑張れ!^^

と応援したくなります。
そして、工場が出来ました、大団円です!٩( ''ω'' )و

と、青春群像劇なら、まぁここで終わるのが筋なんですが・・・。
ワイダ監督がそんな終わり方をさせる筈がない(笑)

ここからです!
怒涛の転落劇が繰り広げられ、カルロ君の身から出た錆で工場は全焼、そして三人は一文無し。
いやカルロ君モテの代償キツイなぁ、だが同情は出来ないと冷ややかな視線(ーー)

だがしかし!
またもや怒涛の展開で、カルロ君達はすっかり裕福層の仲間入り。
カルロ君の引きの良さを感じます。(^^;

でもね・・・
裕福層になったカルロ君達がやっている経営は、旧世代と全く変わらないものとなり、富裕層の支配は続くと言う全く救いがないラスト。

何だろうなぁ
若者の支援を優先しろ、若者が時流を変える
私達、ロスジェネ世代も変革を目指して出世した人達はいます。
でも、その人達のやってる事って、旧世代が行って来た事をそのまま受け継いで来ている事多いですよね。
特定の世代だけで事業や行政を行う時、特定の世代だけで行う事の危うさを、この映画は警鐘しているんじゃないかと・・・非正規労働者はふと思うのでありました。(´・ω・`)

そして、今これを書きながら色々な想いが浮かんでいます。
こう言う映画は、素晴らしい作品だと言う私自身の目安となっています。

これを読んで、興味を持たれた方は是非一度ご覧になって下さい。
ちなみに、私の心を惹きつけてやまなかったのはユダヤ人のモリツ君です。
彼の機敏に富んだ活躍が心を掴んで離さない。
彼きっとデートとか行っても、割引クーポン券持ち出すタイプだ、お互いの割り勘率とかきっちり交渉してくるタイプだ。

そんなあなたが好きですモリツ君!!(≧▽≦)

でも、モリツ君の心はカルロ君のもの。そんな彼の心すら丸ごと恋してしまうぼっちなのでした。(´・ω・`)←腐女子

ここまで、お読み頂きありがとうございました~ヾ(≧▽≦)ノ
chio

chioの感想・評価

4.1
時代背景を知ってから見ると本当に面白かった。
カリーナ・イエドルシックが美しくてそれだけでも見る価値あると思う。
spica

spicaの感想・評価

3.0
長かった。
ものすごく、しっかり作られている大作だと思うが、歴史的背景を知らなかったり、興味がなかったら、ただ長さを感じるばかりだった。
inuatsu

inuatsuの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

世の中には、持てる者と持たざる者がいる。それをなくすことはほぼ不可能だろうし、そのこと自体は悪いことではないと思う。問題があるとすれば、得てして持てる者は自分の地位を守るために持たざる者から搾取をして抑圧するということである。

多くの場合、若者は持たざる者である。彼らは、同僚など同年代の人々が持てる者から搾取されるのを間近で見る。彼らを作者から救うための方法は、自分が持てる者になり、持たざる者への待遇を変えることだ。そうすることで、憎悪は少なくなり、より人間性溢れた世界が実現できるはず。

しかし、持てる者と持たざる者の間の社会的流動性がない世界で、持たざる者が持てる者になるのは簡単なことではない。持たざる者同士で協力することも必要だが、持てる者やその周りの人間をうまく使うことも大事になってくる。

そこで「他人をうまく使う」ことを覚える内に、持てる者を目指すことは、より人間性溢れた世界を実現するための手段ではなく、それ自体が目的となる。持てる者になった瞬間から、人は自分の地位や財産を守りたいという誘惑に取り憑かれ、逃れることが難しくなるのだ。

成功体験に潜む魔物が、今日もまた保身に走る権力者を生み出し、この世界の搾取の構造を再生産していく。