半兵衛

2/デュオの半兵衛のレビュー・感想・評価

2/デュオ(1997年製作の映画)
3.0
脚本がなく役者たちや監督が話し合って物語を製作しているので、行き当たりばったり感はあるし登場人物の言動の波が激しすぎてどういうキャラなのか判別しづらくなるけれど、作り物ではない生々しいカップルの空間が劇中には存在しておりそんな痛々しい二人の自分の友人たちや自分と恋人のやりとりを見せられているような緊張感のある言動に通常の劇映画にはないハラハラ感を堪能できたのも事実である。そしてそんな二人の狭いアパートなどの空間を移動やカメラアングルなどで奥深さを出して映画的空間に仕立ててしまう田村正毅カメラマンの魔術がヤバイ。

でも脚本不在によりキャラが不安定、物語の流れが変という弱点がカバーできていないところが気になって最後まで純粋に楽しく鑑賞できなかったりもする。自分は昔シナリオライター志望でそういう学校にも通っていたので(結局なれなかったけど)、先生から脚本でしてはいけないことを一応学んでいてこの映画は結構それをやっているのでますます「なんだかなー」という気分に。

それでも終盤の自動車に乗る西島秀俊と自転車に乗る柳愛里の疾走しながらの追いかけっこに、喧嘩して走り去っていく彼女を追いかけるものの何も会話することがなく気まずいあの空気を思い出してハッとさせられる。あのシーンだけは一ヶ月たっても強烈に残っているはず。

主役の西島秀俊が若さと髪型や鋭い目付きのせいか、中村倫也や若い頃のオダギリジョーに似ている。売れない俳優という役柄にもぴったり。
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