仮想敵・仮想味方
ピーター・ジャクソンの初期作品。史実をモデルにしているが、「ロード・オブ・ザ・リング」のファンタジー路線はもう完成されている。
つまらない現実から離れるための空想世界がいつしか自分の中で柱となって行き、そこに依存する反動で、仮想の敵味方を線引きしていくことになる。そして、その線引きと真実は大きく乖離しており、あらぬ方向に事件が起きる。
本作が映画デビューとなったケイト・ウィンスレットがかなり怖いパフォーマンスを見せており、拙さは残るものの、大人への反抗を潜めているような眼力は見事。
結論については「1001の映画」に書いてある通りで、最も批判されるべきは性にヒステリックになりすぎた1950年代の中産階級の親たちなのだと主張しているように読み取れる。