尿道流れ者

唐獅子警察の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

唐獅子警察(1974年製作の映画)
3.8
中島貞夫映画祭の助走としてみたこの映画。なんて因果な関係なんだろうかっ!兄である小林旭と弟の渡瀬恒彦の避けられない運命的な闘い。
この兄弟は腹違いで、無職でアル中の親父から産まれた。そんな出生のせいで、故郷では近隣の住民から笑われる屈辱の日々を子供時代に過ごすはめになった。
そんな生活に嫌気をさして自らの運命から逃れるように故郷を捨てて東京でヤクザとなり華やかに暮らしていた。しかし、弟は故郷に残り、兄の母の介護をしながらも荒くれた生活をしていた。そして2人は再び出会い、運命の歯車が狂っていく。

兄弟の性格差や立場からくる振る舞いの違いが時にはコミカルでありながらも、2人が辿ってきた日々を感じ、悔しさや野心などの思いが強く伝わってくる。フランス人がフランス語を喋ることにブチ切れながらも、きちんとSEXでは感じさせる渡瀬恒彦など細かいところでも見応え充分。

最後、自らの運命悟り受け入れていくような渡瀬恒彦の姿と、その運命に最後まで逆らおうとした小林旭の姿はどちらも美しく切ない。