ベンジャミンサムナー

沓掛時次郎 遊侠一匹のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)
3.0
 「コイツは俺と違ってソロバンが弾けねえ野郎だった。弾けねえばっかりにお前達のソロバンに弾かれて死んじまった!」

 開始20分で渥美清退場させるの勿体無さすぎるだろ!

 正直、時次郎とおきぬとその息子の太郎吉との関係性よりも、渥美清演じる朝吉とのバディものの方が100倍興味がある。
 
 渡し舟でおきぬが時次郎に渡す柿がトマトかってぐらい赤いけど、殺陣で吹き出る血といい、おきぬが頭に刺してるかんざしや死に化粧の紅といい、全体的に"赤"が時次郎の血生臭い生き様やおきぬの死相を際立たせるアクセントカラーとして映える撮り方をしている。

 そういう緻密な演出がなされているのは分かるが、だったら最初に渥美清出して変な方向に期待させるんじゃないよ!

 萬屋錦之介と渥美清で『トラック野郎』みたいなバディものをやれば(本作の脚本を手掛けてる掛札昌裕は、まさに『トラック野郎』の脚本もやってるわけだし)、そっちのがよっぽど唯一無二の時代劇になったと思うんだけどなあ。