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ゲド戦記のmitakosamaのレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
2.6
あえて先ず監督の宮崎吾郎をフォローするのだが、演出家としての氏は作家性はとても強いのだと思う。僕は作品に作家の個性が反映されるのは1つの才能だと思ってる。
問題はさ、とにかく暗い!!!!作家としての個性が根暗だから、作品にも暗さが反映してる。
宮崎吾郎の暗黒面が画面から滲み出た様な映画だよ。

でも仕方ないんじゃね?吾郎には同情するよ。
原作者から駿に依頼された映画なのにゴネてやらないし、そのうえ鈴木敏夫は駿に作らせるため息子を当て馬に引っ張り出すと言う。
息子を引っ張り出されれば嫌々ながらも駿が引っ張り出すだろうと画策して、結局は駿はやらずそのまま息子がやる羽目になった。ましてやゲド戦記なんて難物中の難物。
はっきり言うけど鈴木敏夫は今作の失敗でジブリの一線を退くべきだったよ。プロデューサーが作品作りにシャシャり出て引っ掻き回すようになったら終わりでしょ。

吾郎本人は否定しているけど、“父殺し”のストーリーに父・駿との確執が反映されているのは一目瞭然だよな。

ラストも“敵を倒して物語が終わらせる”という、当時の駿が全否定した結末の迎え方を選んでしまった。しかもその描写の作画シーンの酷さよ。目も当てられなかったなぁ。
話も結局すごい破綻したものになってしまった。さらに物語の山場も無い。
陰鬱とした気持ちになる、モヤモヤした陰鬱とした映画。

デビュー戦でいきなり敗戦投手として登板させられたようなもの。いくらなんでも可哀想すぎる。
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