てつこてつ

青春の輝きのてつこてつのレビュー・感想・評価

青春の輝き(1992年製作の映画)
4.0
邦題のイメージからは若干違ったものの、期待以上に面白く、 また、感動もした学園青春モノの佳作。

舞台は1950年代半ばあたりの名門寄宿高校。フットボール部の 強化を図るために入校が認められた主人公はユダヤ人の労働者階級 出身で、他の仲間達は上流階級のお坊ちゃんばかり。

当時は反シオニズムの偏見や赤狩りの気風も強く、自分がユダヤ人で あることを隠さざるをえず仲間に加わった彼は、その友情に厚い人柄の 良さ、そしてフットボールチームのクォーターバックとしてライバル校を
数年ぶりに破るなど、瞬く間に学校の人気者の地位に登りつめ、同時に、
ダンスパーティーで知り合った女子学生とも恋に落ちる。

しかし、ふとしたことがきっかけで、彼がユダヤ人であることが暴露されて しまい・・。

この作品、何と言っても、出演者たちが、とても豪華。
主人公を演じたブレンダン・フレイザー、中盤以降重要な役柄を担ってくる マット・デイモン、クリス・オドネル、ベン・アフレック、コールハウザー、 ミュージカル「レント」のオリジナルキャストで映画版にも出演したアンソニー・ラップ・・。

デイモンとアフレックは てっきり「グッドウィル・ハンティング」が映画デビュー作品だと思っていたから、 それ以前にこのような作品に出ていたことは知らず、ちょっと驚いた。

今の映画界、テレビ界、演劇界でもスターとして活躍を続ける彼らだけれど、 やはり主演のブレンダン・フレイザーが断然輝いている。今ではディズニー映画や どちらかと言うとコメディ路線の作品が多い彼だけど、演技力があるし、若かりし 頃は、ある意味、美青年と言っても良い二枚目~二枚目半の容貌であったため、 今回のような役柄や「ゴッド&モンスター」で演じた役が、実は一番彼に合って いたのだと実感する。

マット・ディモンも、メジャーデビューして以来、徹底的に「いい人」路線だった ため(個人的には「リプリー」も哀れな“善人”を描いた作品だと思っている)、 今回のように、狡猾さを表す演技をする姿は新鮮だし、実は、その顔立ちにとても ハマっていることを再発見した。

今まで自分に知らぬ間に身に付いてしまっていた偏見と友情との間で苦悩しながらも 人間として正しい道を取ろうとするルームメイト役を演じたクリス・オドネルもとても 良い。

それにしても、いまだながら米国に(他欧州諸国にも)根強く残っているユダヤ人 差別は、なかなか個人的に理解しがたいものがある。例えば肌の色が違うとか見た目で 明らかな違いがあるものなら、人間誰しも自分と見た目が異なる者には警戒心を高めがちな性質があるため分からないでもないが、どこまで史実なのか分からない聖書の中でユダがイエスを売り渡したからとか、一種言い掛かりのような 金銭至上主義だからといった理由だけでだなんて・・。

逆にユダヤ民族の中にも選民思想をいまだに 強く抱いている人たちも多いというから、いずれにせよ、日本人にはなかなか理解 しがたい価値観の違いだったりするのだろうなあ。

この映画のエンディング、ある意味、気持ち良いものではあるが、個人的には、その後の、主人公 の仲間達との触れ合いの描写があっても良かったのではとも思う。

いずれにせよ、1992年の作品ではあるが、見て良かったと思えた青春映画。
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