ジャッキーケン

アメリカン・サイコのジャッキーケンのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.6
これはクリスチャンベールファンのための映画だと見た。もちろん僕もクリスチャンベールは大好きだけど本作は上級者向け

快楽として殺人を繰り返すパトリックベイトマンの狂気に染まりきった歪んだキャラクター性は本作の魅力そのものでピカイチ、役者魂の塊ことクリスチャンベールをよくブルースウェインに配役したなって思うぐらい悪役演技が凄すぎた。他にこの役を演じられるとしたらジムキャリーだと思う

三度の飯より「フォーリングダウン」が好きな僕としては本作の断片的に映し出される殺し、死体の描写は恐怖は感じるけど映画の面白さとしては今ひとつ力を発揮できていない。鮮明に描くことがなく物事が進んでいくから純粋な面白さとは違う何かがある。不可解に思ったのがポールを叩き切った後に死体が一切映らないところ、娼婦とセックスした後にしたとある行為、冷蔵庫に入った生首、どれもが断片的だからどうしてもうーん?とどっかしらに引っかかりがある。

その謎が少し解明される同僚のとあるセリフと秘書が開く日記を見たことでなんとなく断片的だった理由がわかる。筋トレ中に見ていた「悪魔のいけにえ」を流してた意味がはっきりする映画の色がガラッと変わる終盤を見るとこの映画は単なるシリアルキラー物ではなく、上流階級に属するエリートが抱える嫉妬が憎悪となり、憎悪を殺し、はたまた行き過ぎた妄想へと駆り立てて行く、何とも清々しさのない厭な映画でした。