つるみん

顔のつるみんのレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
4.0
【友達って居らなあかんの?】

嫌味を言われ続けた妹を殺してしまった姉、正子。妹の亡霊に苛まれながらも尼崎から九州へと逃亡し、正体を隠しながら行く先々で色んな人に出会うヒューマンドラマ。

冒頭ミシンをしながら薄ら笑みを浮かばせ、だだっ広い芝生の上でお弁当を食べながら後ろにはラクダがいる不思議で不気味な光景。これだけで正子が陰湿で内気ながらも開放を望む性格かが分かる。
そこから母の死によって一変する姿や徐々に活力に満ちていく様は映画に変化をもたらす良い効果となっていた。

本作の鍵となるのは自転車と海。何気なく〝したい事リスト〟として自転車が乗れるようになりたい、泳げるようになりたい。と発した正子。その伏線が回収された時は笑ったし、何だか感動してしまった。


キャスト陣、
正子を演じた藤山直美さんは聞いたこともなかった女優さんであったが、適役すぎる。123分間の尺をゆっくりゆっくり使って、徐々に正子の心情の変化を表現していたあの演技には脱帽。
周りを固めるのは名優たち。
佐藤浩市、豊川悦司、國村隼、牧瀬里穂、岸部一徳、ちょい役であったが中村勘三郎。
個人的には國村隼がシャ乱Qの『ズルイ女』をスナックで熱唱してるシーンが好きだった。微妙に下手くそに歌う演技も流石です。


あとこの映画に限らずですが、この時代の邦画のワードセンスって抜群ですよね。どの台詞取っても印象に残るというか。格好良くてダサいんですよね。いや、ダサくて格好良いんです。90年代、00年代の邦画、映像の粗い粒子の感じも好きだな。
つるみん

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