ALABAMA

DISTANCE/ディスタンスのALABAMAのネタバレレビュー・内容・結末

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督の三作品目。新興宗教団体による無差別殺傷事件の加害者遺族たちに焦点を当てた作品。最近宗教に関わる映画を観てきたが、ひと際装いが違った。登場人物たちは浅野忠信を除いて宗教団体にも、事件にも関与していない。1番近い人、愛する人が宗教に入信することをどのように受け入れていくかを含め非常に注目すべき点が多い。彼らはもちろん加害者ではない。年に一回、宗教団体が拠点としていた山荘に集まり、花を手向ける。彼らはピクニック感覚で楽しむ。彼らに何も罪はないし、ただ亡くなった身内の霊を慰めているだけだが、何故か複雑な感情を抱いてしまう。なぜだろう。
この映画は全編通してシーン内でのカット割りをせず、手持ちカメラを使っている。あくまでカメラが写す環境、風景、出来事を切り取ることに専念する。もちろんそこにはBGMなど存在せず、照明も点けない。フィクションながら、あたかも記録映像として回しているかのような演出にはテレビドキュメンタリーの手法を強く感じさせる。是枝監督の初期作品(特に『ワンダフルライフ』と『ディスタンス』)にはテレビの影響を感じざるを得ない。この作品をもって是枝監督の劇場用映画はすべて鑑賞。
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