ジョン

居酒屋のジョンのレビュー・感想・評価

居酒屋(1956年製作の映画)
4.1
原作が何となく暗いお話というのは知っていたけど、映画はそこまで暗くはない。意外とコメディっぽい感じがあって、序盤の女同士の喧嘩は『ゼイリブ』並のしつこさがあったし、皆でルーブル美術館に行くシーンとか、魚を上手く調理できる人の名前がポワッソン伯爵だったり、要所要所でクスッとさせられた。

しかし、主人公がどんどん転がり落ちるように不幸になっていく様は悲しかった。周囲の人たちが悉くクズで、勿論良い人もいるし救いもあるのに、そういう物に限って遠く離れていく。展開は大方予想がつくけれど、ラストの主人公の変わり果てた姿は見るに耐えなかったな…。

映像が良かった。モノクロ映画はやっぱり綺麗。また、どう撮ってんの!?みたいなシーンも多くて、最初の喧嘩のシーンで耳飾りを引きちぎって血が大量に出たり、ラスト、コップのくっついた背中が壁にぶつかって、その破片でこれまた血が大量に出たり。本当に血を流して撮影してるはずはないけど、それを疑ってしまう程の迫真の演出で、息を呑んだ。
途中の誕生会のシーンも好き。お肉もお野菜も美味しそう。
ジョン

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