Omizu

居酒屋のOmizuのレビュー・感想・評価

居酒屋(1956年製作の映画)
3.8
【第17回ヴェネツィア映画祭 女優賞】
『禁じられた遊び』ルネ・クレマン監督がエミール・ゾラの小説を映画化した作品。ヴェネツィア映画祭では主演のマリア・シェルが女優賞を受賞、キネ旬外国ベストテンでは圧倒的な票差をつけてこの年ベストワンに選出された。

3人の男の間で揺れる女性が辿る運命を悲劇的に描いた一作。最初の夫も次の夫もヒドい。唯一活動家の男がまともに思えるが…

ルネ・クレマンの見事な演出、マリア・シェルの魅力的な演技で完璧な完成度を誇っている。最後に主人公がみせる哀れな姿に心が痛む。

徹底したリアリズムで描かれる悲劇。ルネ・クレマンの本領発揮。最初から運のない主人公だが、男運のなさに拍車がかかっていく。

夫が主人公の店を徹底的に破壊するシーン、誕生日会のシーンなどの激しい描写から繊細な心理描写まで完璧な映画。悲運の主人公を演じたマリア・シェル、クズ男たちを演じたフランソワ・ペリエなどが迫真の演技をみせている。

完成度の高いリアリズム映画の名作。特別好きな訳でもなかったが、これぞクレマンという見事な作品だった。
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