柏エシディシ

街のあかりの柏エシディシのレビュー・感想・評価

街のあかり(2006年製作の映画)
3.0
より温もりを感じさせる物語の印象が多い新世紀以降のカウリスマキにおいて本作は、ヘルシンキの張り詰めた冷気がスクリーン越しに伝わってくる様な、初期の作品を思わせる映画。
カウリスマキが撮ると、他の映画監督がやれば陳腐で凡庸になりそうな演出や脚本が途轍もなく魅力的になるのが、ホントに不思議。
不器用でお人好しの男が悪い女に騙されるお話も、時の経過を道端の枯れ葉や花で表現したりする演出すらも、なんでこんなに愛おしくるなるのだろう。
チャップリンの悲喜劇論ではないが、あり得ないぐらい次々に降り注ぐ不幸も、なんだか少し笑えてしまって、そして何処か他人事でない親近感が湧いてきてしまう。
想い人が、他の人と出掛けたと聞いたアト、ネオンと照明が落ちるシーンなんか最高に笑えて泣けてしまう。
柏エシディシ

柏エシディシ