りっく

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプランのりっくのレビュー・感想・評価

4.0
本作には愉快なコメディ場面が続々と登場する。
意地がぶつかり合うスピーチ場面やテニスのラリー合戦。
食あたりを起こして次々とトイレに駆け込むカオス展開。
ブライダルシャワーや飛行機内での大暴れっぷり。
そのどれもが最高に笑えると同時に、どこか身につまされる痛みも感じてしまう。

親友が結婚する。
それは喜ぶべきことだが、同時に今まで通り付き合えなくなることを意味する。
自分だけが取り残されてしまうという危機感から、他人の幸せを素直に祝福できない。
自分が孤独であることを悟られたくないために、イイ男と愛のない関係を持つ。
その上、自分よりあらゆる面で優れている新たな「親友」も登場してしまう。

自分が惨めで哀れで愚かな人間だとは分かっている。
だが、そんな自分を周囲に見透かされたくないからこそ、傷ついた心でカラ元気を貫き通す。
孤独になるのが怖いからこそ、必死になる。
ギリギリの自尊心や優越感から、見栄を張り合ってしまう。
そんなやることなすこと全てが裏目に出てしまう彼女を、いつしか応援してしまう。

だが、完璧だと思われていた第二の「親友」も、実は同じ境遇だったことが判明する。
夫は自分に構ってくれず、連れ子も自分を受け入れてくれない。
女友達と呼べる人間もいない。
互いに対立していた、孤独な者同士の振れ幅が一致し、映画全体のバランスが一気に良くなっていく展開が心地よい。

主人公は再び前を向いて生きようとする。
「ブライズメイズ」との和解。
母親との新たな生活。
そして、大切な人との愛のある関係。
ラストの結婚式では、彼女はもはや親友の結婚を素直に祝福することができるだろう。
同時に、彼女の新たな人生の第一歩を、皆が祝福しているようにも感じるのだ。
りっく

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